たまりにたまった鑑賞記録。
どうしょうもないのですが、とりあえずの自分用記録としておいておきます。
<8月>
*石内都 背守り LIXIL ギャラリー
こちらのギャラリーは初訪問でした。
石内都さんの写真からは何か、亡くなった方から届くメッセージが
印象的で、今回も生まれた子供を大切に守り、成長を祈った親の願いが
背守り、という形で着物に縫い付けられたことを知りました。
温かな手作りの着物の質感と、祈りが縫い合わさって
純粋に成育を願う親の気持ちに胸が痛くなりました。
*ギャルリー東京ユマニテ
新世代への視点2014
佐竹真紀子展「記憶する皮膚」
表面が削られた様々なものの切り口から見える色の堆積層が
時間の堆積にも似て、思いの沈殿が浮き彫りにされて新しい質感となった
ユニークな手法に引きつけられました。
岡知代展「漆表面Ⅱ その奥に内包された世界」
漆の大画面をよくぞ磨ききった、という大作。
*絵画の時間ー24のエピソード ブリジストン美術館
京橋界隈を歩いていたので、タイミング良く始まったばかりの
展覧会を見てきました。
ブリジストン美は祖父母、父母世代の洋風への憧れがどこかに潜んでいて、
和洋折衷のリビングに招かれたような気持ちになることがあります。
今回は所蔵品の中から、24のエピソードとともに紹介された展覧でしたが、
そのエピソードはイヤホンガイドから視聴できるという企画でした。
短時間の鑑賞だったのでイヤホンを借りなかったことが残念でした。
とはいえ、レンブラント、オノレ・ドーミエ、カイユボット、
セザンヌ、ゴーガンと,ゴッホ、ヴラマンク、ザオ・ウーキー
日本画家では古賀春江、岸田劉生の濃密な油絵を見ることができたことを
喜びました。一度、母を連れてきたいと思います。
*現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
国立近代美術館
こちらは記事としましたので、
ご参照下さい。
びっくりするほど、豪華でビッグアーティストが並んで
仰天したのでした。
*国立近代美術館 常設展
常設のために一日費やすことができた方がいいのだけれど、
近代日本画に慰安されるのでした。
河原温作品が並んでいて弔問できたような気持ちに。
企画展の味が濃い場合はこちらを先に鑑賞する作戦をとると
都合がいいことを発見しているのでその作戦で今回も
常設からの鑑賞にしたわけでした。
*つなげよう花の心3 増上寺
友人の関係からご紹介されて行ってきました。
いけばなの数流派によるデモンストレーションと
増上寺の天井絵の美しい場所でのいけばなを鑑賞してきました。
様々な流派が精力的に活動していることを知りました。
*ABKAI2014 新橋演舞場
今や歌舞伎界では一番元気な海老蔵さん、ひきいる
ABIKAI の舞台を急にお誘いを受けて行ってきました。
元気なパワフルな海老蔵さんの魅力満載でした。
お席が花道すぐ脇だったので、汗と息づかい、そして海老さまから
漂う香しい薫りに悩殺されました。
*日本の美を極める ホテルオークラ東京アスコットホール
記事は
こちらにしました。
夏休みの避暑に出かけたようなオアシス的展覧会でした。
ホテルでの展覧会の落ち着いた環境もとても優雅な気分となりました。
*草月流秘蔵コレクション展 パレスホテル東京
私が学んでいる草月流は芸術ともとても親しくて、
コレクションも多様にわたっています。
それを新しくなったパレスホテルで開催され、
会場には勿論勅使河原茜家元ほか、長年草月で活躍されている先生の
作品が並びました。もっと沢山の方に見てもらえると
いけばなと、芸術の親近感が伝わるのではないかと思いました。
*魅惑のコスチューム・バレエ・リュス展 国立新美術館
服飾学校卒業の友人と行ってきまして、とても充実した展示企画に
すっかり魅了されました。
衣装があって、ダンサーがいて、舞台装置があって、音楽が,詩があって
絵画となり観客は酔いしれるのでした。
*オルセー美術館展 国立新美術館
なんというスタンダード、という気もしますが、
それが目の前で鑑賞できる喜び、とはいえ、沢山のお客様で
モネのカササギと会えたことが一番の嬉しい事となりました。
新しいことを目指す、若い熱情とチャレンジに胸がじゅんとしたのでした。
*木村宗慎 一器一菓展 日本橋三越本店
茶人の木村宗慎さんが一日一つの菓子器にその日のお菓子を取り合わせた
愛らしい、ステキな365日、日めくりのような本を発刊された記念の展示会。
出品されているものたちも凄技主のものばかり。
ため息つきつつ、ちょっと小さな漆器を予約してしまいました。
*3331 アンデパンダン
旧知のあおひーさん久しぶりの出品に駆け付けました。
身内贔屓かもしれませんが、
あおひーさんの作品は飛び抜けてました。
作品集をまとめられていて、それを開く楽しみも
ご本人のお話も一緒に伺うことができて、
オシャレだし、クールな視点にわくわくするばかりでした。
今後も期待しています!
ご本人のブログは
こちら
<9月>
*江戸妖怪大図鑑 太田記念美術館
季節柄、お化けと妖怪が忙しい時期で、その展覧となると
どれだけおどろおどろしい画面と遭遇するのかと
ドキドキでしたが、期待値をあっさり裏切るとてつもない
濃厚さに眼球が止まってしまうことしばしば。
強烈濃厚画面に悩殺されてしましました。
*涼風献上 根津美術館
夏の激しさに青山根津まで出かける、その気合いが入らないまま、
会期ぎりぎりの鑑賞でしたが、やはり間に合って良かったと、
つくづく根津の環境のすばらしさと、空間と美術品の質の高さに至福を頂戴してきました。
酷暑をいかに涼やかに暮らすかという工夫が嬉しい展示品でした。
やきものの青、白、水や瀧、魚や鳥たちが楽しげに遊ぶ姿は
優しい暑中、残暑お見舞いとなります。
今回のハイライトは「赤壁図屏風」長沢芦雪筆の大作、6曲1双の屏風絵でした。
ゆったりとした自然風景を墨で悠然と描ききる雄大さが素晴らしかったのでした。
2階の展示室5では名筆といわれる人たちの消息があり、驚喜しました。
明恵上人、光悦、近衛信伊、後水尾天皇、小堀遠州、などなど。
信伊のお?な恋文もあったりで、生々しく生きていた証として晒されることも知らず、
気の毒な気もしたけれど、書の名筆であることがどれだけ大事なことであったかを
感じる展示室でした。
また、茶器のコーナーは「夏の茶事」としてさわやかな取り合わせを楽しむことができました。
*鎌田あや展「いずれ、いずれ、あるところで、、、」ギャルリー東京ユマニテ
若い作家さん達との遭遇は時々その発想にどきっとさせられます。
執念の表現が時代と共に変化してくることがあるのでしょうか。
何事かの原因、理由、宿命、性質などが絡み合って、
とりつかれるように制作の時間を過ごしていることに
驚かされに行くような、そんな空間でした。
記事にしていますので、
こちらをご参照下さい。
*through 2014 中村ミナト彫刻展 ギャラリー現
長いご縁のある方の友人でもある、中村ミナトさんの個展に
行ってきました。奥野ビルのすぐ近くの小さなギャラリーです。
階段で搬入のご苦労が目に浮かびます。
大作の一点でシャープな金属のオブジェがどんと設置されています。
緊張が床から、天井から壁から迫ってきます。
アクセサリー作家としてもご活躍のミナトさんの
作品からは金属からのメタリックな硬派な臭いも有りながら
ご本人のおおらかな暖かみも感じられるところが特徴です。
今後はアクセサリー展に向けて大忙しとのことです。
*ギャラリーさわらび
佐々木誠さんの個展が奥野ビルの「さわらび」で開かれ、
暑いさなかの外出にひるんでいましたが、
ようやく会期末ぎりぎりにお邪魔してきました。
やっぱり、木彫の迫力はドア越しにもはみ出ていて、
素材も、鑿跡も造形もおどろおどろしさを越えてきた
静けさがあって引きつけられるのでした。
今後も常設で作品が並ぶそうです。
記事は
こちら
*So Frenchi Michel Bouvet Posters ギンザ・グラフィック・ギャラリー
資生堂ギャラリーにほど近いggg ではいつもポップなポスターとお目にかかれます。
今回はフランスのポスターアーティスト、ミシェル・ブーヴェの黒太ゴチの
明快なポスターが見えたので、入ってきました。
写真国際フェスティバルで続いたポスターの端的な動物たちの顔、
物語の象徴的シンボルをうまく取り合わせた見た瞬間にそれとわかるデザイン、
カードやシールにしてしまいたいと思う図案ばかりで
愉快に楽しめる作品群でした。
*せいのもとで 資生堂ギャラリー
ものを作る、その精神の神々しさに資生堂ギャラリー会場が
寺院のように変身して依り代となったような怪しくも美しい展覧会でした。
ブログ記事をご参照下さい。
こちら
*THE RINGS 指輪 国立西洋美術館
ご縁あって、2回見ることができた展覧会。
女史のハートを鷲掴みする指輪の展覧会を西洋美術館で開催ということも
珍しいことでした。
煌めくリングの様々を時代の流れと、ともに、衣装や、絵画なども
展示した幅の広い視野をもって鑑賞することができました。
ブログ記事も書きました。
*女王と女神メトロポリタン美術館古代エジプト展 東京都美術館
女性はいつの世もたくましい、その証を見せてもらったように
心強いものを感じました。
ふんころがし君は色々なアクセサリーとしてお守りになったりしたけれど、
和名をなんとか美しいものに変えてあげたい、と切望もしました。
そのスカラベ、指輪展でも沢山出品されてました。
*岡村昭彦の写真 生きること死ぬことのすべて 写真美術館
恵比寿の写真美術館がこの展覧会を最後に大規模改修工事にともない、
長期休館してしまうのと、同時開催の「写真新世紀東京展」にTwitterでフォローし、
写真作品がとてもユニークな目線を持っている、麥生田兵吾さんの作品が
佳作として出品されているとのことで、行ってきました。
岡村昭彦さんの写真、世界各地での戦場のその現場臭のもの凄いこと、
それでも人々は食べて恋して遊んで、生きるために仕事をしているのだと
今でも何の進歩などしていない現実に照らしても鬱々となるやりきれさが
写真画面に圧縮してきたのでした。
そして、麥生田さんの写真と初対面してきました。
彼の目線はいつも残された対象物から放つ残映、残香、おいてけぼりの空しさを
背負いながらも命のほとばしる瞬間があって、色の層からものの本当の姿を
追いかけてみたい、という求心も伝わるのでした。
切なくて生々しい、という人の性も匂い立つのです。
今後の活動が楽しみです。
*芹沢けい(金に圭)介展 日本橋高島屋
用の美、柳宗悦、工芸館、その世界が好きな人ならば
必ず、どこかで目にしていた、文字のテキスタイル。
それを作った芹沢介の作品展があり、楽しんできました。
温かな質感と、手作りの緩さとぬくもりに
使い手の心まで安心させてくれるのは作り手の自然とのつきあい方
ではないかと思うのですが、今の人たちは自然とあまり親しくしていないので、
新鮮に感じるのかもしれません。
本当はいつでもどこでもすぐ横にあるような、普段の景色であるはずなのに。
ふるさとを感じる、手作り感は今一番欲している世界観かもしれません。
などなど、詰め込み備忘録で、長々しいことでした。
他、国立劇場で住大夫さんの引退後初の文楽を観劇してきました。
一部 「双蝶々曲輪日記」(ふたつちょうちょうくるわにっき)
住大夫さんの野太い声が響かない、そういう現実を改めて確認しながらも
その存在の大きさを感じることができましたが、
嶋大夫さんの熱演ぶりに感激もしました。
また、新しいチャレンジとして、文楽「不破留寿之太夫」も観劇するチャンスが舞い込んできまして、
日本文芸の流から離れた、シェークスピアの「ヘンリー四世」「ウィンザーの陽気な女房たち」
より、文楽にアレンジされたものを楽しんできました。
過去には蝶々夫人、椿姫、ハムレットなどの上演もあったそうで、
文楽の懐の深く、広いところを沢山の人に楽しんでもらえたら、と思ったのでした。
10月はまたとんでもなくすばらしい展覧会が続出で、
悩ましい限りです。
いけばなの展覧会など他にも様々予定乱入している中、
なんとか目指す展覧会は見逃さないようにと
カレンダーとにらめっこです。
忙しいと逆に効率よく回すことを工夫できるのではと
楽観していたりしますが、豊かなことだと喜んでいます。