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上野散歩 2013年9月26日

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 ちょっと時間が出来たので、
 お花の稽古の帰りに上野に行ってきました。
 
 お目当ては興福寺の仏頭展。

 そこまでの道のりであっちふらふらこっちふらふら。

 芸大美から東博の前庭もiPhoneカメラで画像撮ってきましたので、
 ご紹介です。

 その前に先日オープンしたばかりの
 黒田清輝記念館の上島珈琲店で珈琲ブレイクして
 一息つきました。
 ぜひ、二階の空間にお立ち寄りをお勧めします。

 仏頭展、とてもいい展示空間が出来ていました。
 仏頭、とても美しいのですが、
 お気に入りは木造弥勒菩薩半跏像とそれを収めていた
 厨子です。
 厨子の天井には散華がちらされ、天女が優美に舞っていたのでした。
 
 そして、東博へ抱一の夏秋草図屏風をこの目に。
 
 館内も上野の彼方此方にも秋の気配がかさこそしていました。

 静かな時間が訪れること、ホッとします。
 
 では、とりとめもない画像ですけれど、Upします。

 都立美術館裏から上野動物園の門を見ます。
 




 オープンしたばかりの黒田清輝記念館の上島珈琲店二階から。
 とても静かで、読書にも最適。
 芸大美や、こども図書館の行き帰りにも。



 芸大の陳列館。この建物が妙にお気に入りです。
 お茶関係の日中交流「東洋茶文化交流会」なる展覧会が開催中。



 その脇から、なんかすてきな情緒景色が突然現れまして。



 陳列館の煉瓦と窓枠の鉄格子ラブです。


 
 芸大を創建した岡倉天心はこの門をくぐったのでしょうか。
 正木直彦記念館があり、
 正木校長のご立派勇壮な彫像もあって芸大を見つめます。



 東博の門をくぐるとすぐに見える紅白の萩。
 今年は白が先に沢山花を咲かせていました。





 そして、表慶館。久しぶりに中には入れることになりました。
 休憩場所として提供されるようです。



 黄昏時の表慶館の電灯がぽうっと灯って見えました。



 東博の展示はまたちょっとだけUpします。
 あっというまに秋が来てしまいました。
 ぶらりお散歩に最適なシーズン、何度通っても楽しいところ満載です!

最後に東博の秋見つけた、です。


 
 
 

東博 秋の特別公開 酒井抱一「夏秋草図屏風」「四季花鳥図巻 下巻」

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 酒井抱一の画業というのは
 どうみても品がよく、崩れることのない安定感、安心感、
 えもいわれないはんなりとした色合い、巧みな構成、
 その中で煌めく温かみのある美しさ。
 時には厳しく、時には荒々しくもなるけれど、
 ほとんどから癒やし系のオーラが放たれているのです。
 お育ちの良さもさることながら、本来の性格が滲んでいるようです。

 こちらがどんな精神状態でも受け入れてくれます。
 これは若冲たち、奇想の画家にはありえない懐の深さです。
 
 今回、その画業で外せない
 「夏秋草図屏風」をまじまじとみてきました。
 何度となく見てきたはずですが、
 やはり目の前に現れてくれるとドキドキします。

 宗達から継承された光琳の風神雷神図の裏に描かれた、
 光琳へのオマージュ、夏秋草図。
 異界の嵐を招いた猛々しい神の姿の裏に、草です。
 嵐に抵抗せずにしなやかに身を任せるのです。

 東博の展示はカメラOKというサービスがあるので、
 お構いなくiPhoneでジロジロ撮ってきましたので、
 ご紹介します。
 葛の花はちょっと盛り上がっていて、胡粉を使ったのでしょうか。
 筆もあちらこちら動いて、
 あぁ、抱一がこの画面に向かっていたのかと息遣いを感じます。











 また、展示室は変わりますが、
 「四季花鳥図巻」下巻も展示してあります。
 そのまたはかなげな美しさにウットリします。
 虫も鳥も草花もみんなひとときの移ろいを愉しむばかりです。
 はかなげな美しさ、これこそが陶酔への誘いです。
 今こちらの人気投票が行われているようです。
 清き一票をぜひ! クリック

 
 鈴虫とコオロギが秋の訪れを告げます。
 萩が咲き、明月が秋を引き立てます。

 
 カマキリが鎌を振り上げてもピンクの芙蓉や菊の咲き乱れる中では
 何か踊っているようにしか見えません。みずひきも見えます、この繊細さ!
 
 
 小さな豆粒のようなありんこさん、見えますか?
 発見したときのドキドキした嬉しさといったら。
 水色の実を付けているのはイシミカワという蔓らしいです。
 枯れかけた草はオミナエシでしょうか。

 
 葉裏に蝉の抜け殻が残されています。
 この実はもしかしたらアオキかなと思います。
 もはやここから抜け出した蝉は一夏の命を終えたのです。

 
 柏?に止まる鳥の視線の先はどこに。蔦も赤く染まりました。
 そこへ初雪が散るのです。

 
 梅には雪が積もり、菰を被せられた水仙は初春を呼ぶ
 かぐわしい香りを放っているはずです。

 こうしてみていくと、抱一の描く様は
 友禅の着物柄にしたくなります。
 染め物との関係はなかったのでしょうか。
 光琳も呉服屋だったのですから
 抱一の着物、きっとあったと思うのです。
 
 それにしても、鳥の名前わからなくてがっくりします。
 
 東博の秋の特別公開の案内サイトはこちら

 9月29日までの特別公開です。
 やっぱり生を見るという経験は作者の魂がダイレクトにドシンときます。
 抱一の甘美なる世界に浸ることが出来て
 じんわりとした充実感に満たされたのでした。

国宝 興福寺仏頭展 ・東京藝術大学大学美術館

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 私が30前後の頃、奈良にご縁を頂きました。
 足かけ3年の住居を奈良にしたこと、
 今でも胸がうずく3年です。
 その景色の中にいつも興福寺の五重塔がそびえています。
 あの階段を昇れば、五重塔の真下にいられたのです。

 修学旅行生たちはよくあの階段で集合写真を撮ってきました。
 私の中学時代の集合写真もあの階段だったのではなかったでしょうか。

 以来、時が流れ、25年余り。
 興福寺人気の阿修羅展では東博平成館が夜になっても
 大賑わいしていたこと、全国横断して勧進も大成功だったのではないでしょうか。
 それで、見事阿修羅像は昔の窮屈なガラスケースにしまわれることなく、
 素晴らしい環境を得たということです。

 4.5年前にも奈良に足を運びましたが、
 諸事情あって国宝館を訪ねることがないままで、
 いつか興福寺の創建当時の姿を拝見で来るのではと
 心待ちにしているところです。

 前置きが長くなりました。
 
 それで、今回は興福寺創建1300年記念の展覧会。
 あの仏頭が大変な道中をへて上野にお出まし頂いたのです。

 痛ましい変遷の物語りもさることながら、
 あの仏頭を動かすことを心配する昔語りも聞いたことがあるので、
 どうかご無事で展覧を終えてお帰り頂けることを祈念するばかりです。

 今回は仏頭が主役メインではありますが
 国宝が山のようにざくざく所蔵されている興福寺。
 他にも国宝、重要文化財が惜しげもなく展覧されます。

 会場は地階から始まり、
 木造弥勒菩薩半跏像、そのお姿を守るお厨子の
 堂々たる美しさに頭を垂れます。
 単に美仏というだけではなく、
 華美な装飾工芸技術にも目を見張ります。
 そのお厨子もまた芸の細やかさ、色の鮮やかさ、
 心配りの繊細さに息が止まります。
 扉には無著、世親の姿を認めます。
 天井には黄金色の飛天が舞飛び、散華も愛らしく散らされ
 ています。
 この像が鎌倉時代のもの。
 日本の美術工芸はこの時代に頂点を極めてしまったのではないでしょうか。

 その弥勒菩薩さまを取り囲むように
 護法善神扉絵が展示されています。
 その表情の豊かなこと。
 
 また、春日版板木による法華経板木そのものを見ることが出来ます。
 印刷の大本の姿です。
 板木が生まれたから写経も進化して人々の手に渡ったのでしょう。
 
 地階の次の部屋では
 国宝 板彫十二神将をぐるり鑑賞できるような展示で驚きます。
 ユニークな表情、動きのある体の線、見ていて楽しくなります。

 その奥では興福寺中金堂の再建模型と、
 多川俊映 興福寺 貫首によるインタビュービデオが映し出されます。
 創建当時の姿に戻して、興福寺の存在を改めて
 世に顕したいという願いが伝わります。
 
 続きは3階へ移動します。
 気持ちはすでに仏頭を心待ちにしているわけです。
 入ってすぐに奥の方中心に仏頭が静かに厳かにこちらを向いています。
 そのまわりをぐるり囲むように
 木造十二神将が全員360度鑑賞できるよう配置されています。

 十二支の干支を頭上に頂いているので
 それを頼りに見ることも面白い見方だと思います。
 自分の干支は、親の、夫の、子どもの、友達の
 それぞれの干支を思い出しながら、
 今にも動き出しそうな迫力に大感動です。

 西洋の彫像には溢れる命、エロス、フェロモンが匂い立つのですが、
 ここにある興福寺の木像からは神の世界、仏の世界、現世のものではない
 ずっと精神界での表現で肉体を持ってはいても、清々しい、神々しい、
 黄泉の国にしか現れない、ひたすら尊敬を捧げる対象として見えてきます。
 ですから、こちらも安心してうやうやしく心を開き、夢を見る事が出来るのです。

 ライティングも素晴らしく、この十二神将が仏頭をお守りしているからは
 何の心配もいりません。
 中央の仏頭はやはり厳しい美しいお顔立ちです。
 損傷の痛ましさはあるけれど、
 お顔の表情が仏様全体を表現してしまっているような
 存在感の大きさに魅了されます。

 今回は東京深大寺からも同時代のものとして
 銅像釈迦如来倚像が展示されました。
 深大寺にも白鳳の銅像があったこと、驚きました。

 CPグラフィックで見る仏頭の再現映像も興味深く
 丁寧な作りにみとれました。
 
 この展覧は11月24日まで。
 古都奈良で正倉院展が終わるころまで
 芸大美にいらっしゃるということです。

 造形の本来の力、木の持つ力、
 鋳造された仏頭の威力、
 鎌倉、室町で生まれた日本の美の創造は
 未来永劫日本の美の柱となっていることを
 強く感じた展覧でした。

 展覧サイトも充実。楽しい発見があると思います。
 こちら
 

魔法の美術館 ・上野の森美術館

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 上野の森美術館、
 時々意表を突く展覧会を開催します。

 今回は従妹とそのお嬢1才7ヶ月と連れだって
 体験型光のイリュージョン「魔法の美術館」を体験してきました。

 上野の月曜日、さぞ静かであろうと高をくくっていた私達、
 お昼前の行列に畏れおののき、とりあえずはと
 子連れでも歓迎してくれる精養軒で
 その名も嬉し恥ずかし、「パンダプレート」ランチを
 お腹に投じました。
 お子様がいればこそ、おばさんでも躊躇なく
 注文できました。


 お腹が満ちてくれば
 行列への闘志も湧いてくるもので、なんとかなると
 思えるものです。
 結果、なんとかなって、おちび嬢も元気に歩いて
 大人と一緒に参加してきました。



 会場内は撮影OKなので、iPhoneで撮ってきました。

 なるほどな視点の作品についひっかかって遊んでしまいました。
 展覧主催の思うつぼに純真にはまるってこと、やってきました。
 この、純真になる、そいうことが時に必要ですね。

 11人の作家が工夫を凝らした作品を鑑賞者との距離を縮めます。
 子どもってすごいです。
 なんの前知識なくひょいとその与えられた世界に飛び乗って
 愉しんでしまいます。
 
 アトリエオモヤ 光で遊ぶ
  天井からぶら下がる大きな布の筒に仕込まれた沢山のビーズの玉を
  下から突いて動くとまるで光が蜘蛛の子のように散って
  光が動き出します。
  単純なのに、子ども達はキャーキャーいって突きっこに興じます。




 尾形壽人/五十嵐健人 another shadow
  壁に映った自分の影が分身となって違う陰が生まれて
  もう一人の自分の陰に遊ばれちゃいます。

 児玉幸子 そらだま
  畳二畳ほどの電子板上に光の玉を転がしていくと
  電子板のパネルがひっくり返って
  動物のシルエット、その動物のアルファベットが
  現れます。オセロみたいな光の遊び。

 小松宏誠 Secret Garden
  羽根で出来たオブジェが風に舞います。
  陰と一緒に緩やかに動いて、
  幻想的な白と黒の世界が広がります。
  彼方此方に点在して展示されてます。






 パーフェクトロン inside-out
  動く影絵。
  小さなバスに搭載された光源がゆっくり動いて
  町中を巡回します。
  その時に生まれる影絵が大きく壁に伸びて
  白黒映画のように楽しめます。

 ブラブラックス Kage's Nest
  天井からの光の下に入ると自分の影絵と一緒に
  何かが着いてきます。
  何がひゅ〜っとでてくるのか、
  楽しみで何回も光の輪の中に入ってしまうのです。

 細谷宏昌 Shadow -graphy
  ポップな音に浮かれてその部屋に入ると、  
  壁に底の部屋に入った人達の姿が映し出されます。
  子ども達はほっといてもその音に反応して
  自由に踊りまくります。
  ルールとかそんなことお構いなしに
  時差で映る自分や仲間や家族の姿に
  大喜び。
  また一緒にやりたくなっちゃう、そんな遊び心は
  子ども達のほうが一枚も二枚も上手。
 
 松村誠一郎 Hop Step Junk
  こちらも音と一緒に愉しむ作品。
  ジャンプ台にのって足を踏みならすと
  床面にいろんな線が生まれてきます。
  踏みならし方を変えてみたり、強く飛んでみたり、
  様々やって息切れ注意です。

 真鍋大度/比嘉了 happy halloween!
  カメラの前にすわって顔を隠すと
  スクリーンに映った自分の顔に怪しい変化が!
  ハロウィンにちなんだ仮想メイクを時間制限で楽しめます。

 宮本和奈 ミラボン
  自分の手で回転できるミラーボールのきらめきが
  部屋中に広がります。
  ふわふわした気分になって目が回りそうになります。

 森脇裕之 光の波紋
  光の基盤に手をかざすとふわふわ光が反応します。
  自分が手を出さなければ変化しないので、
  手を出す、参加する醍醐味。
  飽きるまでどうぞ、でした。



 この展覧会は体験アミューズメント美術館。
 期間限定で10月6日まで。
 並んでいる間も楽しめる方なら、家族や友達、デートにもどうぞ。

 特設サイトはこちら!
色々映像紹介されてます。

上野の森で彼岸花スポットに遭遇しました。





 こうして、従妹親子と楽しいファミリーな半日を
 過ごしてきたのでした。

 上野はとても近くて楽しいエリアだけれど
 まだまだ面白いところ沢山!
 ミケランジェロも来てますしね!

柳宗理のみてきたもの・日本民藝館 駒場散歩

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 駒場界隈に行くのはとても久しぶりでした。
 前回のつきしまかるかや展を見逃していたので、
 民藝館にまだ行ったことがないという友を誘って連休に行ってきました。

 「柳宗理のみてきたもの」

 柳宗悦を父も持つ工業デザイナーとして、
 また日本民藝館の三代目館長としても
 その見つめてきたものを一堂に展示する展覧会です。

 宗理(1977〜2006)96年の人生において
 「用の美」から「無心の美」という親子の共通理念に基づいて
 世界中の色々なものが集められました。

 民芸活動の濱田庄司、河井寛次郎、田島隆夫などの作品も
 散りばめられ、
 民藝館所蔵品の朝鮮陶磁器とも違和感のない
 アフリカの布、仮面、インドの金属器、
 イギリスのスリップウエァなどが並びます。
 併せて日本の民窯、朝鮮陶磁器、
 木彫では木喰仏が四体も展示されました。

 そもそも民藝館の建物がすばらしいので
 その展示ケースとしての環境は人肌感溢れる
 癒やしの空間になってしまうのです。

 不思議なことに、掘っ立て小屋にも、
 クールなホワイトキューブでも
 コンクリートの打ちっ放しでも、
 大谷石の蔵の中だとしても
 違和感のなくなるそのものたちの魂力に
 元気をもらいます。

 日本の工芸の底流にある
 自然と共存してきたその目を通して作られた美学は
 生活を、家族を愛したものたちへ注がれるものです。

 慈愛をこめてものをつくること。

 特別なものは何もないのです。

 素朴なのに、土のようなのに、
 そこにある安心感。

 ついつい一つ一つのものに話しかけて
 物語をしそうになります。

 詳しいことは民藝館のサイトをぜひチェックしてみて下さい。
 こちら



 せっかくの駒場なので、
 東大キャンパスにまったく似合わない中年おばたちで
 ランチしてきました。
 風が優しく、構内の古い建築姿に感動しつつ、
 環境のすばらしさにため息しました。







 また、民藝館のあとには
 駒場公園にまわって前田邸を見学してきました。

 iPhone画像をあわせてUpします。

 秋のお散歩には丁度良い具合。
 お天気の良い日に、ぜひお出かけしてみて下さい。

 前田邸の和館の杉板戸に描かれた絵がとても素敵だったので
 驚いたら、係のおじさんから
 橋本雅邦の作だと教えてもらいました。
 びっくり!!
 
 これからもイベントがあるとか、
 目黒区の情報も時々気にしてみましょう。



































 前田邸をでたすぐの所に
 まだまだ盛りの朝顔が咲き誇っていました。
 鈴木其一か??でした。



 民藝館ショップで芹沢銈介の来年のカレンダーを求めたら、
 あと少しですが、今年のカレンダーをどうぞ、とプレゼントしてくれちゃいました。
 ふふ。
 
 華々しい大展覧会が目白押しの所、
 たまにはこんな旅気分を味わえる場所で
 ひといきつくのもお勧めです。
 
 
 

ここのところの事情 

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 美術館記事が動かないまま、
 色々が動き始めています。

 そんな気配の中にいます。

 なんとはなしにこのままではつまらないと
 一念発起してリクルートにしばらく勤しんでおりましたが、
 ことごとくご縁がなく、
 ブランク17年という現実はハードルが高いのだろうと
 雇う方に同情してしまいまして、
 また、こちらの自慢できる体力気力と若さをアピールなど
 とてもとても出来ない現実で、いまおいくつ?
 なことを理解しました。

 で、どうすることも出来ないかと思えば、
 そうでもなく、お花関係のお手伝いが入ってくるし、
 花展参加もあるし、
 急遽友から来春早々のお手伝い要請があったり、
 大先輩のお手伝い等々、
 縛られない適当な立ち位置が逆に功を奏したりするのです。

 ご近所ママ宅の猫ンズのお世話係もしました。

 それで十分ではないですか、と納得できた今日この頃です。

 納得できれば、履歴書の書き方を学ばなくても
 自分の来歴など過去帳を書くことからも
 解放されました。

 拙い原稿書きの二週間、生け花教室の発表会の準備、活け込み、
 明日はあげ花(花の片付け)反省会などで
 今月が終わってしまいます。

 月末からは日本橋高島屋で草月展が開催されます。
 お家元はじめ、草月の看板を背負う大先生達の力を生で見る事が出来る
 見応えある展覧会となることでしょう。
 そこに参加できるようになるまで、まだまだ修行が続きます。

 今月は台風にも振り回されました。

 今月は銀座界隈のギャラリー巡りの一日、民藝館での柳宗理展。
 久しぶりな あおひーさんの新作拝見に。
















 
 そのくらいでしかないのですが、
 来週から、そろそろ素晴らしい名碗のなど、茶味あふれる
 展覧会に行ってみようと思います。

 ちまたでは暮れの商戦がスタート。
 愚息の大学受験もいよいよラストスパート本番が迫ってきます。

 こういうときは心に余裕がなければ
 サポートする方も身が持たないので、ゆったりとした精神状態でいようと
 心がけたいものです。

 秋の充実した美術展がキラキラしています。

 出来ることは限られているわけで、
 知足で参りたいと思います。

 ということで、あべまつ行脚のブログ更新が滞っていますが、
 のんびりをご容赦下さいまし。
  
 天候に振り回されがちですが、どうか体調ご自愛下さいますように。
  ラッキーハロウィン☆

国営昭和記念公園

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 草月の先生にお誘いを受けて
 初めて立川の「国営昭和記念公園」に行ってきました。
 開園30周年記念行事として
 草月の西支部が参加して
 第1回「よみがえる木々のいのち」展
 テーマは「まつり」が開催中でした。

 立川には時々、草月の西支部展が開催されるので、
 駅前の高島屋に行くことがありますが、
 昭和記念公園まで足を伸ばしたことがありませんでした。

 しかし、一歩園内に足を踏み入れてその広大さにびっくりしました。

 ここが東京かと。

 草月の野外展示はなかなか見る事が出来ませんが、
 この広々とした自然の舞台の中で
 のびのびと巨大作品にもチャレンジできる有り難い場所でもあるのです。
 園内の廃材を利用して、台風にも負けない強固な作品に仕上げることが
 求められます。
 東京農大、農友会華道部という学生グループも参加しています。

 地図で場所を確認すると公園の三分の一程度。
 最寄り駅は JR立川、青梅線の西立川、東中神、西武線の玉川上水、武蔵砂川。
 まだまだその広さを実感できません。

 初秋のとても良いお天気の日で、
 お散歩にはもってこいの時間を過ごせました。
 ランチは立川駅近くでとって、その後日本橋高島屋の
 草月いけばな展、「花おどる」展に移動したのでした。

 画像で昭和記念公園と草月の作品をご紹介します。
 作品展は明日11月9日(土)までの開催です。

 公園はこれから紅葉してますますドラマチックな色に変化していくのでしょう。
 意外と近いので、丸一日、小旅行気分に浸れます。 


 水鳥の池に浮かぶ小島が愛らしい。


 相次ぐ台風でお手入れ直しが大変だったそうです。




 こちらは齋藤史門さん作品「廃墟」公園内へのゲートのようでした。


 レモンの輪切りのような車輪がころころ。


 園内でひときわ黄色くなっていたケヤキの大木。


 竹取物語、というタイトルでした。








 おっきなカタツムリ出現!


 こちらは提灯


 地上の花火 バッタもピョンピョン飛んでました。


 斜面にはりついた大きな蜘蛛のような作品。タイトルは imagination 


 公園の広さが今ひとつわからなくなる景色。両サイドに銀杏並木が!


 まだまだ青い銀杏並木ですが、中には銀杏をビッチリつけている樹もあって、
 かぐわしい?香りを発散させていました。






 花の時期ではない中、一番美しかったのは薄。尾花、といいたくなりました。






 これはススキのなかま、パンパス。穂がシュッとしていて、花材にもよく使われます。




 見事な松ぼっくり!まるで生き物が並んでいるようでした。
 樹は松ではなくて、ヒマラヤスギ


 黄色くなってきた銀杏の木。



 2時間程度の滞在時間でしたが、
 とっても癒やされる自然と作品群にすかっとリフレッシュできました。
 次回は行けなかった日本庭園方面を目指したいものです。

東京国立博物館のスペシャルライトアップ 11月1日(金)

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 ようやく、東博で開催中の「上海博物館 中国絵画の至宝」展、
 本館企画「描かれた風景」
 平成館の「京都」展に行ってきましたが、
 這々の体で館外に出ましたら、

 なにやら本館に向かって見上げている人がずらり。

 なにかと振り返ると
 な、な、なんと本館の建物に映像が!

 説明なしの画像Upです。

 様々な表情をご紹介です。
 そういえば、ちょっと前にも東洋館に向かって
 イヴェントがあったようですね!

 東博、がんばってるな〜
 今月11月もこんなことしてますよ!こちら 
 *3Dプロジェクションマッピング これは彼方此方でブームになりそう。

























 今回のイヴェントはこのことでした。
 こちら

 今月の金曜日、夕方は東博でキラキラを楽しみましょう!


三嶋りつ惠 清澄 展 ・シュウゴアーツShugoArts

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 三嶋りつ惠さんのガラス作品を最初に見たのは、
 何年か前、資生堂ギャラリーの展覧の時でした。
 儚いガラスという材料になんというたくましさを表現する人がいるのだろうと
 驚愕したのでした。
 以来、そのお名前を刻んで来ました。
 
 それで、三嶋作品を紹介するギャラリーは
 清澄白河のシュウゴアーツというところだと知りました。
 三島のヴァンジミュージアムにも所蔵されているようですし、
 サントリー美術館のガラス展でも展示されました。
 いつかその作品を総覧して見たいものです。

 ちょっと前にTwitterで三島作品の展覧があることを知って、
 これは拝見に行かねばならないと
 心待ちにしました。

 会期末、16日土曜日にようやくたどり着くことが出来ました。

 本当にここにギャラリーがあるのか?という
 倉庫の中で誰にも会わなくて、昔ながらの階段ばかりで5階!
 心臓に悪いのですが、諦めず、ガツガツ上がっていきました。
 運送会社の大型トラックが並んで駐車されているところに、
 はたして入り口というのはここで良いのかと
 おろおろしながら上がっていきました。

 そして5階に上がりきって景色がぶわっと変わりました。

 ありました、
 シュウゴアーツ。サイトはこちら

 受付に色々お尋ねし、iPhone画像もブログUpもどうぞ、ということで、
 わがままに会場内で撮ってきました。

 ガラス本来の素材感を生かし切って力強く、生命力溢れた
 フォルムに仕立て上げます。
 壊れそうな、儚い、もろい、繊細で、可憐。
 そのイメージをぶちこわされます。

 ガラスのやきものかと思います。

 色を使わない潔さも好感を持ちます。
  
 場内に55回ヴェネツィア・ビエンナーレのビデオが放映されていまして、
 その画面の美しいことといったら、ため息つきながら
 張り付いてみてきました。

 今後もますますご活躍の場を広げられることと思います。
 か細くではありますが、応援団、がんばります。

 会場内の画像をご紹介します。
 会期は11月16日で終了しています。



















 *帰りには荷物搬入用くらいあるエレベーターを使って降りることが出来ました。
  しかし、運送会社に入り込む、不安感は印象強く残ったのでした〜 

清澄庭園へ  11月16日

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 お目当てのギャラリーを拝見してから、
 通り過ぎることが出来ないな、と
 清澄庭園に入園してきました。

 紅葉の景色はいかばかりかと
 単純に思って足を入れて、その単純な発想に
 深く恥じ入りました。

 広く大規模な池、大泉水をぐるりと散策できるようになっていて、
 岩崎家のお気に入り石のコレクションが彼方此方に散在して
 一々存在感ある景色となっていました。

 池には三つの島があって、中の島に渡っての景観もまた素晴らしいものでした。

 まだ紅葉のピークにはなかったのですが、
 野鳥たちも沢山飛来して、
 池の周りはとても賑やかでした。

 鳥の名前、もう少し知りたいものです。
 パンフレットより、通年見られる野鳥の名前がありました。

 カイツブリ、キジバト、ヒヨドリ、オナガ、ムクドリ、
 シジュウカラ、アオサギ、ゴイサギ、カワウ、ユリカモメ、
 キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモ、ヒドリガモ など

 だそうです。
 名前と本体と線を引けるように学びたいものです。

 パンフレットによれば、
 元は江戸豪商、紀伊国屋文左衛門の屋敷跡だったとか。
 それを明治になって、岩崎家が取得して、その後も
 造園工事が進められ、全国から取り寄せた
 名石を配して「回遊式林泉庭園」として完成したそうです。
 大戦後、半分を東京都に寄付され、
 整備の後、公園として開園し昭和54年には都の名勝に指定されました。

 大正12年の関東大震災や、大空襲の時の避難場所として
 多くの命を救った場所でもあったのです。

 清澄庭園のサイトは こちら

 ばちばち画像を撮ってきたので、ご紹介します。





























特別展国宝「卯花墻」と桃山の名陶 ・三井記念美術館

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 この秋、ここの三井記念美術館、五島美術館、根津美術館 で
 三館合同キャンペーン 茶陶三昧 三館めぐり

 が開催中です。
 三館の展覧会半券を集めると次回展覧会入館券が一枚進呈されます。
 三井記念美術館は先に今日、24日で終了となりました。

 茶陶ファンにはワクワクの垂涎展覧会です。
 ぜひにも!といち早く三館巡ってきました。

 最初に訪問したのが
 三井記念美術館。「卯花墻」

 驚くべき事に、展示された陶器は一部を除き、
 オール桃山時代です。
 信長や、利休が生きていたあの桃山時代のもの、勢揃いというだけで
 ぶるっとします。奇跡だと感じます。
 2013年の現代で、茶道を憧れるだけで遠くに思うような現代で、
 茶会記にしたためられてきた伝来の茶器が
 ずらり現れたのです。

 今回のチラシがとても美しい開きになっていました。
 
 国宝、志野茶碗 銘、卯花墻 は単独の展示室2で堂々と鎮座していました。
 ケースの所為でしょうか、重厚な存在感ばかりではなく、
 温かな白い肌に口縁を赤く染めて姫様を思います。
 そのきっと姉妹関係の
 志野橋の絵茶碗 銘 橋姫 が等東京国立博物館から駆け付けてきていました。
 また、
 如庵 の小さなお茶室ケースには
 志野 垣根唐草文茶碗 銘 野辺の垣 が展示されていました。
 この野辺の垣はとても素朴で柔らかくて、愛玩したくなる姿でした。

 展示室1から展示室4に至るまで、
 志野、鼠志野のおおらかな姿の茶碗、香合、水指、がすらり集合されて
 圧巻でした。
 今まで志野の温かさが人肌に近くてなまなましくて
 すっくり馴染まなかったのですが、
 井戸茶碗やら高麗の佗茶の渋さに慣れた頃、
 このうすピンク色はきっとほっと安堵し、茶人達の頬を緩くしたのではないかと
 思うようになりました。

 展示室5では細長い展示室に黄瀬戸が集められました。
 黄色の肌に緑の釉薬がふわりとかけられてどことはなしに
 可愛らしい雰囲気があって、気取らずに使える人なつこさがこぼれます。
 
 展示室6には陶片のさまざま。
 といっても、美濃の古窯から出てきたもので、こちらも桃山だそうです。

 展示室7には織部の一族、集合、というような場で圧巻でした。
 こんな前衛はないでしょうと、わくわくする意匠が並びます。
 色使いも大胆、絵付けも常識破り、形は想像を絶する歌舞伎ぶり。
 じつに楽しいです。

 これらの陶器、茶人達に愛されてきた茶器が
 なんと桃山時代のわずか20〜30年の間に生まれたものだというのです。
 この茶陶器のすごさに
 陶芸家達はこぞって挑戦し、憧れ続けています。
 その魅力はこの本物の実物を見て、茶会に登場した時の
 客人たちの驚愕と憧れと愛情を想像してもなかなか実感として
 わかり得るものではありませんが、
 ともかく、無二な存在にひたすら変わらぬ思いを捧げることになるのでした。

 茶会の一連の場に、どのようなお客人達の間で、
 それらの器が適材適所に選ばれ、使われ、一期一会の場を盛り上げていったのか、
 それを夢想するだけでも楽しい、名器との遭遇でした。

 次回は「楽茶碗と新春の「雪松図」」展が予定されています。
 茶陶器を一覧する好機となりそうです。

 五島美術館では光悦、根津美術館では井戸茶碗。
 茶陶器好きにはたまらない強化月間となります。
 講演会なども力を入れているようなので、
 併せて楽しんだ方もいらっしゃることでしょう。
 ますます人気の展覧会となるようです。

 三井の展覧の詳細はこちら

 せめて、お抹茶と和菓子で気分を楽しみたいと思います。

 

11月アート鑑賞記録

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 本当に、ふつつかな日々を主婦という身分ながらも
 呑気に送っていることだと手帳などを振り返ってしみじみしています。

 まったく、誰にお願いされるまでもなく、
 好きなことをさせてもらっている日々に
 年末の反省もおろそかにしながらも、感謝感謝です。

 ざっと鑑賞したきたことメモ記録しておきます。

 11月1日 東京国立博物館 上海博物館 東洋館
              本館
              「京都」展 平成館
 11月2日 日本橋高島屋 草月いけばな展

 11月5日 日本橋高島屋 草月いけばな展
      麻布 桃居 熊谷幸治展 

 11月9日 根津美術館 井戸茶碗
      東京都美術館ギャラリーB 「想い、巡る」展

 11月10日 五島美術館 光悦展
            記念講演会「光悦ー上層衆としての素顔」中村修也氏

 11月15日 東京国立博物館 京都展 表慶館3Dプロジェクションマッピング1/25
       国立近代美術館 ミケランジェロ展
               常設 スペインアンフォルメル「内と外」

 11月16日 清澄白河 シューゴアーツ 三嶋りつ惠展
       清澄庭園

 11月26日 サントリー美術館 「天上の舞飛天の美」展 内覧、スライドレクチャー 

 11月29日 原美術館 「森村泰昌レンブラントの部屋、再び」展 
      山種美術館「古径と土牛」展

 11月30日 根津美術館 井戸茶碗講演会「茶人と井戸茶碗」千宗屋氏

 他、いけばな関連の見学、お手伝い、文芸誌のお手伝い、友の留守宅猫ご飯係、
 などなど身に余る関わりを頂きました。

 総じて、やきもの好き強化月間なわくわくの一月でした。
 若いアーティストさんの作品を見て回るのも
 良い刺激になります。
 もちろん、作品が気になるから動くのです。
 日々研鑽の努力に一人でも多くのファンが生まれることを
 ささやかながら、応援します。
 新しく、にわかに地元に住むアート仲間が出現で、
 それもまた楽しい時間が広がったのでした。
 
 様々あって、うまく記事Upが出来ればと思うばかりですと他人事のように
 願っているところです。(苦笑)

 我が亭主、夫殿も無事還暦を迎え、家族で焼き肉大会で祝賀としました。
 愚息はいよいよ受験生ラストスパートです。
 各々やれることに向かって頑張る、それだけです。
 12月はゆるゆる始末を付けられるように
 動きすぎないように落ち着きたいものです。
 年末までの展覧とか、また年始に向けての展覧が始まるとか、
 しょうもない根性に振り回されるのも
 性分で、致し方のない事ですが、
 これがいきがい、元気の源、巡礼者のお勤め、そんな大義をぶら下げております。
 
 体調管理、それが最大重要案件。気を入れ直して緊張感で
 師走を乗り越えたいと思います。
 先週の根津美術館庭園から画像ご紹介です。
 

東京国立博物館 本館 11月展示から

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 東京国立博物館の本館はまったくもって底なし沼。
 何年通っても
 初見の面白い興味深いわくわくと対面出来るので
 年間パスポートは本当に心底有り難く思います。

 展示時期が終わっているモノもあるかとは思いますが、
 気になったもの、メモして残します。

 いつも本館2階に上がってから鑑賞スタートします。
 火炎土器の荒ぶるめらめらに一礼し、
 仏教の興隆コーナーの仏様を一目して、
 だいたい次の国宝室に向かいます。
 
 でも、今回は足が止まりました。
 百万塔 陀羅尼 1巻が二種。
 百万塔 (木塔)





 印刷の元祖、といわれる経文を木塔に入れて、奈良の十寺に奉納したもの。
 法隆寺にあったものでしょうか。

 そうすると、仏教の美術コーナーに
 珍しいお経が展示されていました。

 なんと、泥、木片、貝、石、などのユニークな素材のものです。









 その近くにまた不思議な文字のお経文が軸装されています。
 藤原定信のもので、戸隠切と呼ばれるものだそうです。



 振り向くと異様な気配の屏風が現れました。
 「浜松図屏風」室町時代
 こんな屏風は初めて知りました。
 うっすらと海に繰り出した舟に人が浮かんで見えます。
 それにしても迫力のある浜松図でドキドキしました。どんな絵師によるものなのでしょうか。







 茶の美術には
 志野茶碗、銘 振袖 がスポットライトを浴びていました。
 丁度その頃、三井記念美術館で桃山の茶陶が展覧されていましたので、
 東博から出品された、姉妹の銘橋姫を楽しみました。
 振袖、橋姫、卯花墻は志野の三姉妹と思っています。
 ぐるっと見回すと多様な表現をしていることがわかります。





 同時に、熊川(こもがい)茶碗、銘田子月(たごのつき)も展示。
 口縁が外に反っている形が特長で、
 この形が口当たりも優しいのではないかと、やんわり素直な形が気に入っています。


 平成館で「京都」展開催に合わせて、
 洛中洛外図の関連作品が展示されていました。
 洛中洛外図屏風(模本)11幅 中村三之丞他筆
 室町時代のものを江戸時代に模本として残したものだそうです。
 現代の山口晃氏を彷彿とさせてくれました。
 隣には堂々と作者不詳ではありますが、鮮やかな屏風。




 書画の展開 
 こちらは江戸期の絵師達芸術家の仕事ぶりを堪能できます。
 今回は 
 岩佐又兵衛の「本性房怪力図」


 岩佐勝重(又兵衛の嫡子)「猿猴芦雁図」双幅でゆるっとした楽しげな水墨画。




 博物画のような「虫豸帖」(ちゅうちじょう)増山雪斎筆
 この作品にとても惹かれました。









 隣には応挙も写生を頑張っていますという「写生帖」




 写すことの大切さを感じ取れます。

 浮世絵コーナーには
 色鮮やかな絹本着色の巻物が展示されていました。
 伝菱川師宣。丁寧に人々、周りの景色が描かれています。






 
 今回は久しぶりに尾形光琳の描いた小袖が展示されました。
 深川の木材商の奥方様の為に作られたそうです。



 一階に降りて近代絵画をするっと鑑賞。
 月岡芳年、落合芳幾二人の
 「英名二十八衆句」粋の良い人々が濃厚に描かれています。













 後日このコーナーに変化があり、
 河鍋暁斎の巨大な「龍頭観音図」


 「四季花鳥」屏風 柴田是真の可憐な儚げなしっとりした筆に
 驚き、うっとり見惚れました。









 「維盛高野の巻」1巻 前田青邨筆の明るい絵巻に
 まるで日本の印象派ではないかと、点描とかも見る事が出来、
 新しい日本絵画に挑戦してきたことを思います。




 特筆すべきは企画特集の「描かれた風景」
 小冊子が販売されていて、とても丁寧な作りでした。
 丁度東洋館で上海博物館展が開催されていたので、
 瀟湘八景図などを見比べても興味深いこととなったでしょう。
 谷文晁、やっぱり今年の焦点な絵師です。
 改めて記事にしたいところです。
 これはツボでした。


 さてさて、平成館の「京都」展の素晴らしさは
 あの空間、天上、規模、そこによくぞ二条城を、竜安寺を持ってきてくれたと
 感嘆しました。

 洛中洛外図、どれだけ信長はじめ、武士の権力欲を刺激したことでしょう。
 従うべき絵師の真骨頂をまざまざと見せつけられたのでした。

 取り急ぎ、貯め撮りした画像をご紹介しつつ、
 1ヶ月ほどの東博を思い返しています。

天上の舞 飛天の美 ・サントリー美術館

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 今、サントリー美術館で開催中の
 「天上の舞 飛天の美」展に関連した
 サントリー美術館のメンバーズに開かれた内覧会とスライドレクチャーに
 参加してきました。

 何年か前に息子と関西を回った時に
 平等院を訪ねたこと、懐かしく思い出しながら、
 いつの間にか近代的な展示館が建設されていて、
 素晴らしい環境のなかで飛天たちが乱舞する姿に見惚れたことを
 思い出しました。






 この近代的な建物の中に、飛天が展示されていました。

 息子はお寺そのものよりもそこまでの鉄道と電車に興味があったのですが。

 こちらのスライドレクチャーは毎回好評で参加者も熱心なので
 早めに席を確保を目指しますが、
 この日も開場して10分後ぐらいなのに、ほとんどの席が埋まっていました。

 ばらばらとなるとは思いますが、
 レクチャーのメモを残します。(11月26日)

 今回企画担当された佐々木康之さんは
 2011年にサントリー美術館勤務され、専門は仏教彫刻とのことで
 慶應美術史の卒論が平等院彫刻だったそうです。
 この展覧会が専門企画としてめでたくデビューとのこと。
 清々しい若手イケメンさんでこちらも楽しく拝聴できました。
 
 簡単な自己紹介の後、まず飛天、雲中供養菩薩は
 近代画家、下村観山、村上華岳などの作品も有名。
 飛天とはどういう立場なのかというと、
 天女から羽衣などに現れて仏を讃歎供養する役目を持つ。
 仏殿にはいつも飛天が存在して、中国の壁画や阿修羅の周りの天部という位置。
 六道煩悩世界では地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の天人の部類。
 仏の世界では、天部、明王、菩薩、如来のなかの天部にあたる。
 本展の概要は
 1,日本からガンダーラ、中国、朝鮮
 2,浄土表現 
 3,来迎仏、菩薩
 4、平等院のイメージ
 という柱で展示して、特に3階吹き抜けの展示は
 六本木の空間に飛天が降りてくる体感をしてもらえるようになっている。
 また、飛天だけのための展示は初となる。

 と、概略をお話の後、章立てた順に解説を拝聴。

 第一章 飛天の源流と伝播 インドから日本
 ・男女対の飛天
  「マーラの誘惑」マーラという悪魔が仏を誘惑する。
  胸に布を纏って花を散華する。
  (これらの浮彫は東京国立博物館東洋館で確認することが出来ます)
  天使のような翼を持った飛天が見られる。
 ・中国、朝鮮では鏡に飛天を確認できる。
  中国の神仙思想に近いもので、全身に天衣をなびかせている。
  6世紀の北斉では木と天衣が合体した飛天光背に進化していく。
  日本では、法隆寺、天蓋上部に飛天が見られる。
  蓮華に乗って、光背が天衣としてデザイン化されている。
  衣が上になびく線となって天衣光背と変化している。
  短躯で児童的な顔が特長。
  18枚の飛天図があるが、青年のような表情。
  7〜8世紀の中国の敦煌莫高窟321に似た姿である。
 
 第二章 天上の光景 浄土図から荘厳図
 ・当麻曼荼羅の飛天を見る。
  曼荼羅図上部に飛天が現れている。  
  太鼓や琵琶などの楽器を持って飛んでいる。
 ・菩薩坐像は当麻曼荼羅を立体化したもの。
 ・経典の見返しに飛天が描かれる。
  それを立体化したものとして、大阪の四天王寺の阿弥陀様の脇侍。
  足を上げて、動きのある姿。
  迦陵頻伽(かりょうびんが、顔は人、体は鳥の姿をしている)
  飛天と共に迦陵頻伽が現れるようになっている。
 ・中尊寺金堂は極楽浄土をあたわしたもの。
  屋根にはめられた羽根板にも飛天と迦陵頻伽が表されている。
 ・光背は浄土を表す意匠と変化していった。
  光背にも飛天が現れて讃歎している。

 第三章 飛天の展開 来迎聖衆
 ・阿弥陀様が臨終の時に迎えにきてくれるという来迎。
  飛天の展開として表装の周りの描表装で楽器が描かれている。
 ・来迎図の立体化もみられるようになる。
 ・平等院1053年、藤原頼道の造営とされる。
  極楽浄土としてのお寺の造営として力を注いだ。
 ・今回の平等院修理は半世紀ぶりとなる。
 ・仏師、定朝の現存唯一の平等院本尊。
  定朝は仏の本様として手本とされた。
 ・仏後壁画、光背、柱絵、壁扉、などに雲中飛天が見られる。
 ・源師時の長秋記に、定朝を基本としたという記載がある。
 ・飛天達の姿は同じ姿勢のものがない。
  1m長の雲に乗る飛天は丸彫りに近い。
 ・工房の仏師達の作が飛天の顔の表情となっている。
 ・雲は左向きに流れるのが基本だが、
  今回の展示は右向きになってより形を感じられるようになっている。

 以上が佐々木氏のレクチャーメモとなります。
 この解説をもとにゆっくり鑑賞してきました。
 飛天の歴史の流れに沿って、仏様の周りでふわり飛んでいる
 飛天たちの優雅な姿はともかくも守護し、荘厳するべき仏様の周りで
 音楽を奏で、歌を歌い、踊り、散華するのです。
 特筆すべきは4階から下りたところの吹き抜けの展示。
 また、平等院の飛天たちの特別な光と影が浮かぶ
 第三展示室でした。

 今回の展示は総数約80点が展示替えもあまりなく、
 会期末の来年1月13日まで落ち着いた雰囲気の中で
 年末年始を迎える人々にも
 きっと豊かな散華を頂けるのではないでしょうか。

 そういえば、山口晃画伯の襖絵が奉納されたのも
 今年の平等院ニュースでしたね。

 サントリー美術館の本展のサイトはこちら。

 美術展、というよりも平等院別館のような、そんな浄土の気配に
 満ちています。一年の納めと、年始のお祝いにぜひお参り気分で
 また立ち寄りたいと思いました。

 グッズも愛らしいものばかりで要注意です! 
 今年最後の内覧会とスライドレクチャーでした。
 又来年も楽しみにします。

 今年も沢山サントリー美術館で美の神様に会えましたこと、
 幸せに感じています。
 感謝です! 

12月のアート鑑賞

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 慌ただしい、師走の最中、町中がXmasだ、お歳暮だ、お正月だ、ボーナスだと
 経済効果をねらっての商戦逞しいけれど、
 その手にはのらじと平静を装って見てきたもの、回顧します。

 5日 
 *東京国立博物館 東洋館
  東博所蔵の17世紀明本「清明上河図」
  あの熱狂を思い出しながらずらっと展示された巻物を鑑賞。
  食いついてみている御仁がいらしたのでした。
  「狩猟風俗図」馬の跳躍など、江戸期の狩猟図屏風などを彷彿した
  躍動感溢れる絵巻物でした。



 *ミュージアムシアター
  上映開始まで時間があったので、その間に東洋館をざっと流して見ました。
  本編は岩佐又兵衛の洛中洛外図舟木本を鑑賞するための参考となったことでしょう。
  東洋館に照らされた3Dプロジェクションマッピングにも又兵衛さん大活躍な年でした。
  コピー屏風が裸で展示されていたので、5センチ前に迫ってじりじり睨んでみました。
  京都展、もはやあの賑々しさが遠くに感じました。





 *秋の庭園解放
  黄昏れる人気のない東博の名残の紅葉を楽しみました。
  あの黄色のベンチは?移動カフェも早々にお片付けしてまして、
  商売っ気のない事でした。






     
 *本館
  いつも武具のコーナーは丹念に見ませんが
  樫鳥糸肩赤威胴丸(かしどりいとかたあかおどしのどうまる)

  これをミュージアムシアターでお勧めされたのでチェック。
  縁はめぐるで、ひょいと見たら岩佐又兵衛さんが
  万葉の歌人、山部赤人の肖像描き、後陽成天皇が賛を添えた
  作品を見つけました。
  又兵衛は天皇家とも縁がある存在だったのかと恐れ入ったのでした。



  浮世絵コーナーに銅版画のような亜欧堂田善の作
  「三囲の図」(みめぐりのず)が展示されて驚きました。


  彼は松平定信に銅版画制作を頼まれていたのだそうで、
  かの谷文晁と同じ世界に住んでいたのでした。
  そのことは「描かれた風景」の展示でも二人が関係していたのも
  東博の企画にぐっときたのでした。
  毎回、いつも安定のハイレベルな展示、所蔵品、企画に今年も沢山巡り会えました。
  私の美術鑑賞はここだけで良いと思う最愛の場所です。
  来年もまた、初詣でから楽しみにします。     













 11日
 *「江戸の狩野派」出光美術館
  今年は山楽・山雪に会いに京都まで行ったこともあって
  いつになく狩野派を鑑賞出来ました。
  時代の流れとともに江戸に拠点をもった狩野派が探幽を筆頭に
  御用絵師としての力を存分に発揮したその陰で
  探幽の兄弟、尚信、安信の作品を確認していなかったので、
  とても良い機会でした。
  特に、尚信のしなやかかつ大胆な筆致にすっかり魅せられ、
  彼の息子、常信の波頭図にはドキドキさせられました。
  探幽の天才振りには毎回舌を巻くのですが
  「叭々鳥・小禽図屏風」の破墨ばっさりの水墨屏風にはうなりました。
  山雪の息子、永納の華やかさに豪奢な京都を感じました。
  出光美術館の企画の秀逸さには毎回ワクワクしてきました。
  あのサイズ、出品数もほどよいところも安定感を感じます。
  来年早々は板谷波山。釉薬の追求とあのマットな不透明なベールをかぶった
  艶めかしいやきものをこの目で確かめたいと思います。

 *「三菱美術館名品選2013」三菱一号美術館
  今回は三菱の名品がずらりです。
  ルドンのモノクロ版画に物語のシーンを想い、
  ロートレックの切り取りと色使いに廃退のパリの路地を想います。
  点描画の流れもあって、今年は光の分離を辿る一年であったように感じました。
  最後にルドンの「大きな花束」が青白く輝いて
  三菱自慢の逸品だと晴れ晴れしい展示となっていました。
  ダイジェストになった小冊子が便利でした。
  ここのショップは毎回危険度高くてついつい散財してしまいます。
  洋館に訪ねた気分になる処ですが、ようやくこの地に落ち着きを持って
  定着してきたように思います。
  前回の浮世絵展の展示も素晴らしかったこと、二回通いました。

 *「驚異の部屋」インターメディアテク JRタワー
  今年、オープンした東京駅前のKITTE JRタワーに
  インターメディアテクミュージアムが入りました。
  その噂は知っていたのですが
  目の前にその博物館臭が漂った瞬間、我を忘れて吸い込まれていきました。
  かつての大学が博物の宝庫でその建築もすでにアンティークの香りがしているだけで
  私の意識は理科室の憧れに通じる廊下を歩き出します。
  世界中の不思議をこれだけ集めた展示を落ち着いて見られるわけがありません。
  動植物の形を重厚な工芸品的陳列棚に並べ、その美醜を晒すのです。
  蝙蝠の骨格の美しいこと。
  登りワニ、下りワニを配したり、
  コインの陳列には明治期からの古銭と共に、
  こともなげに、あの赤瀬川源平さんの問題作、偽札事件のお札も。
  こういうセンス、たまりません。
  こちらは入場無料で、月曜日が休館。
  獣虫剥製など苦手な方はご注意を。
  本郷の方もまた行ってみたくなります。
  東京駅、KITTE、丸ビル、新丸ビル、オアゾ、大変な丸ノ内商業地域ですが
  どことなく落ち着いた大人の香りがします。
  新装駅舎もオープンの賑わいが収まり、人をかき分けて歩かずに済むようになりました。
  KITTEにはまだ知らないエリアがあるので、日本の食探検にも行かねば、と思っているところです。


 14日
 *クレラー=ミュラー美術館蔵作品を中心に
  印象派を超えてー 点描画の画家たち
  ゴッホ、スーラからモンドリアンまで 国立新美術館
  印象派にあまり愛を感じてないので、ふ〜んと思っていたのですが、
  大学時代の友が一緒に見ようと誘ってくれたので、行ってきました。
  本当に見ないうちに興味を示さなかったことに深く反省しました。
  とても見応えがあって、1本筋が通ったコレクションの目の持ち主、
  へレーネさんの存在に感動しました。
  彼女がいなければ、ゴッホやモンドリアンたちの才能は路頭に迷ったままだったことでしょう。
  誰もまだ気がついていない時代の先駆者たちをサポートすることこそ、
  セレブの王道なのではないでしょうか。
  来年からは広島での開催です。展覧会サイトはこちら
  漠然とした点描画の時代の流れをスクロールするように見る事が出来たのでした。
  スーラとシニャックの途方に暮れそうな色の分割の試行にうなだれるのですが、
  後のゴッホは彼らからの影響をうけてあのような色を置く手法を身につけたのでした。
  そして、その展開はモンドリアンという人によって
  もっと大胆に光の粒子は拡大され、広がっていくのでした。
  ベルギー、オランダの点描を描いた画家たちの存在も知りました。
  光の小さな粒の集まりがどれだけ試行錯誤を繰り返されてきたのか、
  途方もない道のりを辿るようでした。
  東京駅ステーションミュージアムのベルギーの印象派エミール・クラウスにも
  繋がり、光のとらえ方が様々だと教わった一年でした。
  そうはいってもゴッホの近くにあったゴーギャンがいいなと喜ぶおまけも嬉しかったのでした。
  国立新美術館は天上の突き抜けた巨大なスペースがご馳走。
  巨大タペストリーや、アメリカンポップなどにも最適な場所だったように思いました。 

 *「天上の 飛天の舞」サントリー美術館
  メンバーの内覧で一通り鑑賞したのですが、遠来の友をぜひにと引っ張ってきました。
  一度見た展示ではあってもまた新鮮な対面が出来ました。
  何度行っても見ても、発見があるのかも知れません。
  浄土に無事導かれますようにと二人で結縁にすがってなでなでしてきました。
  これからは仏様のまわりにはいつも飛天、迦陵頻伽たちが優美に舞っていることを
  夢想してより華やかな世界を嬉しく眺めることにします。
  サントリー美術館は毎回美しい心配りが行き届いていて感心します。
  来年もまた六本木に通うこととなりましょう。
  企業美術館の裾野を広げる様々な活動に敬意を持ちます。
  日々の生活のすぐ側にキラキラするものがあるのだと気付かせてくれます。
        
 *日本のデザインミュージアム実現にむけて展  21_21 DESIGN SIGHT
  久しぶりに21_21に入りました。
  三宅一生氏がかねてよりデザインの美術館を目指していることを
  この21_21からの発信で漠然と感じていました。
  そういえば、現代の工芸デザイン美術館、その存在がない事、改めて
  気がつきます。なんて落とし穴でしょう。
  開館した2007年からの展示ストーリーをアーカイブ的展示で
  デザイン表現に情熱を傾けてきたアーティストの願いであったことも
  改めて知ることとなりました。
  もともとデザインの国なのに、それを広める美術館がないなんて。
  どうか、沢山の人々の英知が集まり、機運とともに
  日本人がデザインの国の人だということを誇りに思う場所が出来ますように。
  この建物、そのものがデザインのギリギリを証明しているところが
  中にいるだけでテンション上がります。
  会期は来年の2月9日まで。









 19日
 *映画「利休にたずねよ」
  年の初め、歌舞伎界の巨星がまた天に消えました。
  海老蔵の父上、團十郎丈。
  その父息子が最後に共演した映画、「利休にたずねよ」
  運良くお誘いを受けて早々に見る事が出来ました。
  海老蔵の利休、その師匠、武野紹鴎を團十郎が演じました。
  今回の利休には利休の若かりし頃の純情が織り込まれた
  フィクションなのですが、團十郎さんのいるだけの存在感に
  大きさを改めて深く思いました。
  破格の茶道具がこともなげに登場し、ギョッとします。
  映画のサイトでホンモノの登場ということを確認して
  二度驚きました。それをお願いしたのも海老さまだったとか。
  それに応えた当代楽家の吉左衞門さんもまた大きな方。
  四百年前の長次郎が海老蔵の手の中でお茶を含んで場面をぐっと
  重厚に引き寄せていました。
  秀吉の大茶会ではなんと、細川護煕氏の作の黒楽茶碗。
  これからご覧になる方、茶道具の登場に大注目です。
  「美」というものにとらわれた茶人の生き様は
  今も尚、私たちの憧れを集めて止まないのでした。
  映画のサイトはこちら

 今月は、企業の華道部のアシスタント、いけばな稽古、
 文芸誌事務サポート、新進女流日本画家お二人との会食(あんみつ会)
 などなど豊かな時間を過ごすことが出来ました。
 いよいよ愚息の受験が本番を目の前にして緊張が高まってきました。
 しばらくは彼のサポートに回ることになるでしょう。
 彼の人生最初の頑張りを応援したいと思っています。
 素敵なクリスマスの夜、近い将来の大学生に夢を☆  

 KITTEの大きなもみの木の移り変わりを見てきました。
 あっという間のショータイムでした。
 色の変化を残してみます。




2013年 アート展覧会ベスト10

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 2013年の幕がもう少しで降ります。
 年末年始の用意などこの際、適当で良いかと
 投げやりな気持ちながらも
 お正月花や、のし餅をお願いしたり、
 美容院、クリーニング、年賀状、大掃除、
 などなど詰め込んでいましたが、
 やはり、恒例の 年間ベストテンを始末しなければ、落ち着きません。

 ここ一週間、スケジュール手帳などを見ながら
 あれやこれやを思い出していました。

 それでようやく決まりました。

 10 大野麥風展「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち
    東京ステーションギャラリー

    東京駅舎がリニューアルされて、ようやくこちらのギャラリーに行ってきましたが、
    とにかく色使いが細やかで、つくづく浮世絵の国に生まれた人だと
    その魚に対する執着振りと版画の凄みにひたすら敬服し
    一点一点の丁寧さに見る時間も大幅に伸びたのでした。
    ギャラリーの煉瓦造りの雰囲気もとてもお気に入りとなりました。
    展覧企画も素晴らしいものばかり。
    今後も期待するところとなりました。

 9  野中ユリ展 
    神奈川県立近代美術館別館
   
    灼熱の夏、友人連れ3人で汗かきフーフー言いながら行ってきましたが、
    あの建物に入った瞬間、すーっと異空間に引き込まれました。
    ようやく野中ユリさんの作品を通史的に見る事が出来ました。
    美しいものの欠片がコラージュされてこの世のものではない
    宇宙への私信となって、その言葉を読み取ることが出来るのは
    その夢想観を繋げることが出来る人だけのもの、なのかも知れません。

 8  印象派を超えてー点描画の画家たち
    国立新美術館
    
    今まで漫然と印象派を眺めてきましたが、
    クレラー=ミュラーコレクションのお陰で
    時代の流れと光の分割の辿ってきた道のりを見たように思いました。
    その中でゴッホがどれだけ異彩を放っていたのか、
    後の日本画壇がどこまで彼に憧れて模倣を試みてきたか、
    スーラや、シニャックの点描への気が遠くなるほどの作品から
    光の粒子が拡大し、モンドリアンの作品までを見ると
    今まできちんと対面してこなかったことを反省したのでした。
    以来、近代洋画を見るたびに光への拘りとその表現への
    執念を感じることが出来るようになったのでした。
    コレクターの目、その1本筋が通ったぶれのなさ、
    時代の先端を感じ取る確かさに感服したのでした。 

 7  会田誠展 
    森美術館

    公共の場での会田誠展はそもそも波乱含みだと言われてきましたが、
    案の定、色々あったことを思い出します。
    しかし、芸術は事件だとも思います。
    その事件現場にいたというそわそわした気配と
    やられた感は山下裕二×会田誠の両氏をゲストにした講演会でも
    感じられ、破天荒なしょうもなさと、絵画本筋をギリギリ追究する
    振り幅に見る側は翻弄され、それを作者はほくそ笑んでみているのかも知れない、
    そんな事も感じた劇場的展覧で痛快でした。

 6  井戸茶碗
    根津美術館

    今秋、利休の生きた時代の茶器展が続々開催されました。
    その中で、根津美術館は驚きの企画を持ってきました。
    「井戸茶碗」それだけを集めた展覧を初めて見ました。
    展覧企画には若宗匠、千宗屋氏が奔走されたとのこと。
    暮れに公開された映画「利休にたずねよ」でも監修に参加された宗屋氏。
    ご活躍めざましい一年に思いました。
    武将たちが愛玩した井戸茶碗の枇杷色肌を淡々と整列させた
    その姿だけで禅宗の和尚さん達が座禅しているかのようにも見えて、
    おぉと感嘆の声を漏らしました。 
    講演会の模様やら、色々記事にしたいことがあるにも拘わらず、
    放置していることに胸が痛むのですが、
    ともかく、武将たちの茶陶狂には理解が出来ないけれども、
    よくぞ今のこの世に残ってきたものだと
    昔の話しは本当のことだったように
    思える証人の足跡にぞっとする思いがしたのでした。
    おなご衆はじっとみるだけでどうしようもありませんでした。

 5  もののあはれ展  
    サントリー美術館

    サントリー美術館は展覧事に素晴らしい展示会場を作り出します。
    今年もガラス、文晁、飛天、などなど楽しみました。
    その中でも「もののあはれ」はいわれない儚さと
    日本人は常に自然を介して人生の色々を思い重ねてきた姿を
    遠く月が見ているのだろうかと、情緒心が灯るようでした。
    小林秀雄や、川端康成の書も展示され、
    日本の心はもののあはれを感じることこそ大切だと知らされます。
    現状はすっかり自然の力を畏怖することなく振り回され、
    尊敬し愛する心も荒んでいるようで
    どこか隠れ里に迷い込んでみたいと思ったのでした。

 4  福田美蘭展
    東京都美術館
   
    この展覧の驚きは今でも新鮮に残っています。   
    今までこの画家を知らずにいたのはどうしてなのかと思いました。
    福田美蘭という目を通して絵画という概念をぼろぼろに
    崩壊させてまた新に向き合うという果てしない作業に、
    どこかうら悲しいユーモアも感じます。
    作品の一々にそんなばかげたことをして良いのかという
    不安を痛快なほど卓越した筆致で裏切ってくれる快感、
    または彼女の全くぶれない純粋な精神に
    すっかり降参してしまったのでした。


 3  フランシス・ベーコン展
    国立近代美術館

    危ない画家、と言うイメージをそのままガツンとぶつけてくれました。
    何が危ないのか、それは私の理解の範疇を遠く超えているからです。
    生まれ育ちも時代や国や宗教や戦争や性のさまざまな重圧に
    耐えられるべき出力としての絵画。
    苦しい人生だったのか、楽しい人生だったのか、
    そういうことではなくて、ベーコンをしての生き様を
    ひたすら叫んで色を繋げてきた麻薬を見たようでもあり、
    唯々絵から放たれる体液臭にくらくらしたのでした。
    それにしてもともかく絵はハンパなく
    カッコイイ!!
    よくぞ企画を成就させてくれたと感謝したい展覧でした。
    

 2  京都展  
    東京国立博物館
   
    この京都展のスケール感は抜けてました。
    東博という器を思いっきり遊ぶことが出来たのではないかと
    その抜けっぷりに感動しました。
    岩佐又兵衛を代表に洛中洛外図屏風を一堂に会し、
    二条城のホンモノの探幽組を惜しげもなく天空に展示し、
    見えない竜安寺の時空を切なく映像化し、
    京都でも見る事が叶わないこと実現してくれました。
    首が痛くなる展覧会でもありました。
    

 1  山楽・山雪展
    京都国立博物館

    辻惟雄先生著作の「奇想の系譜」に狩野派の山雪がいることが
    前から気になっていましたし、
    京狩野、と言われる狩野派の存在、その仕事をいつか目の前に見てみたいと願っていました。
    そのために日帰り強行して見てきたこの展覧会が
    今年のベストとして燦然と輝くものです。
    屈折した老梅、怪しい気配の雪汀水禽図屏風、
    などなどを目の前に出来た喜びは何にも替えられない
    貴重な体験となりました。




  その他の思い出の展覧は
  次の機会にしたいと思います。

 思えば充実の一年、無事に終えることが出来そうです。
 ご縁を頂いてお付き合い下さった方に改めてここに
 お礼申し上げます。
 
 来年はどんどん駆け抜けられるような馬に巡り会えますよう、
 心楽しみにしたいと思います。 

2014 平成26年 新年!!

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 新年明けましておめでとうございます。

 あっという間に年が明けてしまいました。
 年末の紅白に時代の流れをぼんやり感じながら
 楽しんでいました。

 今年は愚息の大学受験の春で、その一大事が終わりませんと
 なんとはなしに落ち着かない日々となりそうです。
 それでも母が受験するわけでもなく、
 色々と私自身のやりたいこと、やることが押し寄せてくるので、
 それに向かって頑張ってみたいと思います。

 アートは心のオアシス。
 本年はどんなドキドキと遭遇できるでしょうか。

 また相変わらずマイペースなのんびりモードで
 ブログを続けてゆきたいと思います。
 どうぞ今後ともよろしくお付き合いお願い申し上げます。
 みなさまには輝かしい一年となりますように。

 

  あべまつ年賀状はこんな感じにしました。
 
 年賀状書きは元旦、お昼過ぎからの仕事とします。
 ネット環境のかたはこちらで失礼致します。

 また楽しい一年をご一緒しましょう。

 

楽茶碗と新春の「雪松図」・三井記念美術館

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 ブログ更新ができないまま、もう、お正月末となってしまいました。
 慌てて見てきたもの記事にします。
 


 三井記念での新年展覧は厳かできりっとした緊張感があって
 新年の清々しさと身の引き締まる思いがします。

 旧友たちと連れだって新年会でのほろ酔いを隠し、
 静々と拝見してきました。

 新年、その新しい一年を迎えることの晴れがましい感覚は
 年々緩やかになってきました。
 家長が晴れ着を着て一年の始まりを家族の前で仕切るシーンも
 今となれば体験しない人達も増えてきたのではないでしょうか。

 幸い私はまだ日本家屋の床の間のある家で育ったので、
 いつもはリビングでの食事も
 新年だけは日本間で始まりました。

 お屠蘇とお節、お雑煮を食べてからは家族一同で近くのお寺まで
 初詣でに出掛けました。
 着物を着せてもらって簪を付けるのが楽しみでした。

 そんなお正月を思い出しました。

 展示室1はいつも重厚なお茶道具のお披露目です。
 なかでも長次郎作の「黒楽口寄香炉」に惹かれました。
 端正な黒楽ですっくりした円柱形で無駄のない長次郎らしい香炉でした。
 あんな小品も手捏ねで作陶したのでしょうか。

 如庵には蓬莱山画がかかり、お茶碗は御所丸。
 棗は黒塗大棗がてらてらと光っていました。
 茶杓は松花堂昭乗の作、銘翁
 渋いながらも新年を言祝ぐお道具立てとなっていました。

 展示室4では
 新年恒例の応挙の「雪松図屏風」が展示されました。
 右隻の方が有名ではありますが、
 左右そろってこそ、応挙のバランス感覚の素晴らしさを感じられます。
 右隻は太く逞しい直線的な松ですが、
 左隻はまるっとした曲線でまるで雌雄対極の呼応に
 改めて構図の素晴らしさに気がつくのでした。
 凍てつく寒さの中にも晴れ晴れとしたおめでたさも伝わります。
 背景に金を蒔いたことが効果的で墨色と地色の白の間を取り持って
 はんなり華やかさが生まれているのでした。


 他、おめでたい作品や、南蛮屏風、聚楽第屏風も
 新年の室内をおめでたく飾ったことでしょう。

 この展示のもう一つの目玉が楽茶碗。
 長次郎に始まった楽茶碗、楽家の代々のお茶碗がずらり並びました。
 当代の吉左右衞門さんの現代アートなお茶碗も。
 長次郎の銘碗、「俊寛」と三代道入、ノンコウの「鵺」が
 それぞれ特別一碗だけの展示でした。

 細長い展示に初代からずっと継承されてきた楽家の茶碗。
 これらの銘碗たちが下界へ降りてきて
 代々のお茶碗をみんなで飲み比べてみる、
 そんなことができやしないかと妄想します。
 お茶碗は両手に頂いて初めてその重さや、手触りや、口取りや色艶などに触れて
 そのものと相対することが出来るのでしょうけれど、
 もはや、それは危険で、無謀で、望むことが出来ないことが残念です。
 個人的には長次郎の禅僧のような黒茶碗はしびれますが、
 四代一入の下地の朱が見える黒茶碗を贔屓にしています。

 数年前三井で開催された「楽茶碗」展覧に圧倒されたことを思い出しました。
 前回の桃山の茶陶もおおいに惹かれました。
 他館でも昨年秋から茶碗の展覧が続きましたが、
 桃山時代の茶道はなにか、宗教にも似て、
 戦乱の只中の武将たちの荒ぶる心をさらに激情化させ、逆に沈静し、内省する為の
 聖堂となっていたようなそんな気もするのでした。
 その武将たちの憧れを一手に引き受けた利休の存在は
 カリスマめいていて、その美への拘りは日常ではなく、
 命懸けの危険をはらんだ一世一代の修羅場だったのではと恐れをなすのです。

 平安の世に誰が命懸けで茶会を開きましょうか。
 日常のほんのひとときを今を確かめる、
 慰安の茶会を見る事しか出来そうにありません。
 むしろ、その方が親しみが湧いてきますが、
 ちょっと怖いもの見たさに命懸けの茶会を一度で良いので
 観客で見たいと思います。

 楽家の代々のお茶碗と共に
 三井家の紀州御庭焼として、徳川の殿様たちや、三井家のご当主たちによる
 お茶碗も展示されました。
 
 新春の初釜はどんなお道具たちで開かれたのか、
 茶会記などにもきっと華やかな心遣いが記録されているのでしょう。

 はなびら餅でお抹茶を一服頂戴したい気持ちになりました。

 どうか、今年一年、無事に暮らせますように。

 次回は恒例の三井家のお雛様たちが待ってくれています。
 この展覧は25日で終了しています。 

息子18才となる

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 なかなかアート鑑賞に心が向き合えませんので、
 息子のことなどを記事にしようと思います。

 昨日は愚息の18才の誕生日でした。
 無事によくそここまで。
 高齢出産の初産でそれも切迫早産で緊急手術となって帝王切開。
 2,500gを切る未熟児でしたので
 すぐにNICU(新生児集中治療室)の保育器にいれられ、
 母子は別々の特別看護を受けていました。
 神戸に出張する予定の夫は夜中に呼び出され、
 雪の降る中タクシーで駆け付けすぐに私の手術を認める書類にサイン。
 私は数時間前からの陣痛で悪戦苦闘中で、予期しない陣痛で
 どうすることもできなくただうなりながら横たわっているだけでした。
 オペの予定は二日後だったのです。
 出産の予期しない様々があることを身を以て知りました。

 手術室で麻酔のかかった朦朧のなかでも
 赤ちゃんがぶるんと引き出されていく感覚はわかりましたし、
 生まれたての小さな手のひらを握ることも出来たのでした。

 生まれたときにおぎゃーと泣かなかったので
 なにか問題があるかもしれないと産科医に言われたと夫が後から教えてくれましたが、
 NICUでおむつ替えをしたときにおしっこをかけられたと苦笑いしていました。

 とても雪の降る寒い冬でした。

 小さくて、虚弱な線の細い子でしたが、それなりに面白い子育て期間だったのは
 周りに沢山子育て中の家族がひしめく団地だったからだと思います。
 生まれたときから超マイペース。
 この親にしてこの子あり。
 幼稚園時代に私の乳がん手術のピンチがやってきましたが、
 沢山のママたちが助けてくれました。
 先生たちも応援に駆け付けた母とも仲良くやってくれました。
 お見舞いの友達からも力をもらいました。
 家事から解放され、最高に大事にしてもらって
 本やらCDやらをごっそり持ち込んで自由時間を楽しみました。
 息子は最初はなにしろ心細かったようですけれど、
 そのうち母とバスに乗って病院に来ることが日常となって
 だいたいはなんとかなるものだと実感したものです。

 そして小学校入学。一年生の夏に今のマンションに引越、転校を体験しました。
 一緒に同じマンションに引っ越した女の子がいたので奇遇!でした。

 運動よりも電車が好きな大人しい子でした。
 週三回、そろばん教室に通って送り迎えもよくやってきたものだと
 思い出します。
 
 中学に入って、ようやく人並みに思春期の成長期を迎え、
 毎日汗をかいて卓球に専念したものの、秋に体調を崩し、
 卓球部を辞めることになりました。
 無理なときには何をやっても冴えません。
 それは突然で、上手く立ち回れないことも手伝って
 学校に行けない日々が百日以上続きました。

 あぁ、これが不登校児なのかと思いましたが、
 本人が不調の時は何も出来ないものです。
 病院で精密検査やら、心療内科などにも行ってみたりしましたが
 重篤な症状はないので、日々お腹に優しいものを工夫して過ごしました。
 学校との話し合いも思うように行かず、私はある程度腹をくくって
 今の時代、色んな生き方があるんだし、焦ることはない、
 ともかくはゆっくりすることに決めました。
 勉強が進まないことと、学校以外の環境を探して
 塾に通うようにしました。
 学校以外の先生とのコミニュケーションも大事だと感じました。
 中3になって、気分一新、先生にも恵まれ、クラスにも恵まれ
 今までの悶々はなんだったのかと思うほど元気になりました。
 高校受験を控え、夏休みからようやく友達の勧める塾に通い出し、
 なんとか入学できそうな高校を見つけ出し、心明るく卒業することが出来たのです。
 東北震災のあの年のことでした。
 
 やっと自分の空気がつかめるようになって、
 自己主張も出来るようになって自宅から1時間以上かかっても
 休まずに通学し、愉快な仲間たちにも恵まれて
 楽しい高校3年間だったのではないでしょうか。
 自由な校風も幸いだったと思います。
 突然金髪になってきたときはさすがに驚きましたが、
 三日金髪で、黒く染め直したのでした。
 今は必死の受験追い込み中。
 人生初の頑張りを続けています。
 来月末には彼の進路がだいたい見えてくるはずです。

 何事も自分が納得しなければテコでも動かないのは
 小さいときから変わらないガンコものです。
 万人に好かれて、心優しく、立派な正義の味方になれるひとは、
 ほんのわずかな限られた人です。
 そんなエリートは誰かに任せて、
 彼らしい生き方が出来ればそれでいいと思うようになりました。

 ガツガツ自分の事に振り回されて生きて欲しいと思います。
 この私がそうだったから。
 何も言わなかった母に今でも最大に感謝しています。

 そんな息子が18才。

 あっという間の18年です。
 私の大学入学の時、何を考えていたのか。
 そんな年に息子がなるなんて、なんとも不思議な面映ゆいことです。
 
 社会への窓口はもう少し。
 もう、自力で当たって砕けろで笑って乗り越えていけますように。

花展に参加してきました。

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 あっという間に二月が通り過ぎていきました。
 大雪に振り回された大学受験生の愚息は、果敢に試験場に向かい、
 なんとかやりきりましたが、願うところに思いが届きませんでした。
 それでも、何故か落ち込むことなく、ここまでやったからには
 後もう一年頑張ればなんとかなるのではないかと
 浪人生活を決断したところです。
 次の日曜日には高校の卒業式。
 同級生たちも様々なスタートを迎えます。
 始まるって、なんてステキなことでしょう。

 親になるということは、子ども達から教わるって事なのでしょう。

 自分の親がどのくらい大変だったかを今になって知るのです。

 ソチ五輪にも熱狂しました。
 フィギュアスケートのライブを見るために
 早く一旦寝て、ごそごそ真夜中にTVに釘付けになったりしました。
 日本選手の熱戦には手に汗を握りました。
 真央さんの絶望からの完璧演技、素晴らしかったです。
 カーリングの面白さを発見しました。
 他にも若い人達の活躍、キャリア選手の不屈、
 アスリートって本当に凄い人達。
 私はあんなに情熱を捧げていきているだろうかと改めて敬意を捧げました。

 そんな中、
 私の方は2005年からいけばな草月流の教室に通い始めて9年目となりますが、
 参加の声をかけて頂いて、東京北支部主催の花展に参加してきました。
 この展覧会は2年毎、北千住丸井の上にある天上の高いゆったりとした空間の
 ギャラリーで3日間開催されます。
 この花展には今回で3回目の出品となりましたが、
 ようやくこの現場と空気感に慣れてきた気がします。
 どんな作品にするのか、ということも常々頭のどこかで考えてきましたが、
 今回は去年の夏に参加したサマーセミナーで講習を受けて作った
 銅版の花器を使うことにしました。
 花器が決まれば、あとはそのイメージをどう生かすか。
 それが問題です。
 家で色々検討して、試しいけなどして
 花材はサンゴミズキ、ドラセナ、グロリオーサに落ち着きました。

 木曜日のお稽古終了してから会場での活け込みが始まります。
 勅使河原茜家元のスケールの大きな古梅の木、椿、一抱えもあるような
 大きな花器がゴロゴロと搬入されてくる横で、
 グループの大作、個人の小品、初参加の作品、ジュニアの可愛らしい作品が
 続々とその姿を現していきます。
 舞台裏の熱気は落ち着いて花を活ける、そういった日常とは別世界ですが
 これは檜舞台での発表会のようなものですから、
 晴れ舞台なのです。
 春を招く黄色や桃色、白などの花材がひしめき合いました。
 桜、梅、椿、柳、さんしゅゆ、小手毬、雪柳、連翹、木瓜、
 そこにフリージア、ラナンキュラス、スイートピー、ガーベラ、薔薇、百合
 などなど百花繚乱です。
 家元もあとから会場入りして大作の指示をしていました。
 大がかりないけこみでアトリエスタッフが家元の指示に従って
 花材をあっという間に仕上げていくのです。

 夜、7時にいけこみ終了です。
 私はその前に形になってほっとしました。

 翌日、初日を迎える一時間前に手入れに入ります。
 花はいきもので、水を吸って咲いていますので
 刻々とその姿も変えてしまいます。
 形のチェックや、水やり、落ちたはなびらや葉をとりのぞいたり、掃除もします。
 これは毎朝の仕事となります。

 いけこみの時の騒然とした熱気から解き放たれて
 静かに美しく整えられた作品たちがお客様をお迎えします。

 開場とともに、お客様たちが入場されます。
 花たちはすっかり晴れ着を纏った女優のように美しい姿を見てもらいます。

 個性溢れる花の表現と解釈、花器、そしていけた人が見に来て下さった方々を
 繋げて楽しい会話に花が咲きます。

 そうして三日が過ぎ、
 花たちはその仕事を終えて散り散りにされ、残された命を違う場所で
 咲きながら、また命を終えて土に戻されていきます。
 
 いけばなは瞬間のもので、残らないことが美しいと感じました。
 様々ないけ手が様々な思いを花に託して作品としていきます。
 見にきてくれたどなかかが一瞬、顔を輝かせてくれたら
 それでよかったと思います。

 女性ばかりのいけばなの世界と思われがちですが
 男性もいらっしゃいます。
 花に向かう姿勢が情熱的で男性の方が熱心かも知れません。
 
 会場の雰囲気と、
 拙作をちょっとご紹介してみます。







 こちらが勅使河原茜家元の大作です。
 樹齢百年の梅を使用したとのことでした。
 ほのかに梅の香りがただよっていました。



 これが拙作です。



 列の最後だったので、三方向正面になるよう、気を遣いました。
 春の可憐な色の作品が多い中、ちょっとパンチのある作品となりました。
 銅板の花器、その線をいかすようにサンゴミズキを手が痛くなるほど
 ためてカーブを作ります。
 ドラセナの葉は全部外して一枚一枚丸めて埋めていきました。
 50枚以上は使ったと思います。
 この量感に負けないような元気のある花は
 真っ赤で茎に変化のあるグロリオーサが似合っていると思い、
 花だけを生かして入れました。

 春は花の展覧会が多いので、デパートでもお立ち寄りの
 おついでにぜひ花の力を感じてみて下さい。

 企業の華道部のお手伝い、
 友人のお店での花あしらいのコーチ、
 そんなことも出来るようになってきました。

 まだまだ花とのお付き合いは始まったばかりですけれど、
 花を通して色んな方々との出会いが見つかることが
 とても楽しいことだと感じられるようになってきました。

 私の友人たちも沢山駆け付けてくれました。
 ここにこっそりお礼申し上げます。
 いつも、ありがと!

 また次回、なにかのご縁があったときに参加していきたいと思います。
 いけばなは実は空間造形アートなので、
 アート好きの方にもキッと楽しめると思います。

 大きなイベントが終わったので、
 これから少しずつアート鑑賞再開しようと思っています。
 一月以上ブログ放置にも拘わらず、お立ち寄り頂きまして、感謝しています。
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