篠山紀信展　写真力　・東京オペラシティ　アートギャラリー

篠山紀信展。

写真力

これは、つまり現場に行かないとわかりませんし、伝わりません。

現場の磁場がハンパじゃありません。

ここにサイトをご紹介します。

こちら

時代の激動をくぐり抜けてきた
生き証人たち。
（今生きているかどうかは別として）

有名人としての強力なパワーに全く動じず
微動だにせず
その被写体の凄みを百倍（実寸ではなく、感覚的に）に拡大してさらしものにします。
ゆるぎない生命力と魂力を
見ている人たちと共有している情報を下地に
惜しげもなく天空から見下ろしてきて、
そんな圧倒的写真力に気がつかないうちに土下座させてしまいます。

ただただ呆然とあっけにとられて口を開けて
恐れ入る、それだけのことなのに、
なぜ、あのように爽やかなんでしょう。
健康的なんでしょう。
晴れやかなんでしょう。


篠山紀信という人の天晴れぶりにひれ伏して
もう、何か気がかりなことがあったとして、
それがなんだ！と、かっかと笑い飛ばしたくなる魔法にかかります。

ジョン・レノンとオノ・ヨーコ
三島由紀夫や玉三郎、宮沢りえに夏目雅子の写真は
どこかで見ていたけれど、
未見な写真が続々。

大竹しのぶの隣に野田秀樹はいい位置。
中村獅童を案外良く撮っていること。
黒柳徹子がえらく美人だったこと、
ＡＫＢ４８集合写真、刺青モンモンのお兄さん軍団、
相撲界ご一同様、
集団の迫力。

歌舞伎座も賑々しく。
ディズニーランドへもおでまし。
ウラジミール・マラーホフの信じられない肉体美も驚き。

最終章には東日本震災後の生きている人たちをモノクロで撮った作品集。
惨事の後にもひたむきに生きている証拠は
レンズの向こうから悲痛な泣き言は見えず
乗り越えてきた事実を受け入れ、生きている不安もない交ぜに
その土地で立っていることを教えてくれます。
私たちは彼らの話を聞いているだろうか。と不安にもなります。

しかし、なにがなんでも飲み込んでしまう雑食の悪食も
ファインダーを通すと悪心を濾過してしまって、
淀みとか、濁りとかそういったヘドロじみた物が消えていってしまうのです。

不思議な晴れやかさ。

今年のクリスマス・イヴまでの会期。
小さな事がバカバカしくなる痛快な「写真力」に
ぜひ滝修行と思ってお出かけしてみて下さい。

じつに爽快で、愉快です。