2月28日〜3月2日
北千住丸井 ギャラリー1010
草月いけばな展 東京北支部 出品
6日 新宿高島屋 いけばな協会花展
7日 原美術館 ミヒャエル・ボレマンス展
最初の部屋の木蓮でやられてしまいました。
この人、何者?というオーラがビシビシきました。
残像が絵画という世界に住んで何か密やかな妖しさを
見る人に感知させます。
実存ではない何者かの亡霊のようなイメージの存在とでも言うような
表現が難しいですが、とても静かな画面で精神世界を喚起させてくれます。
案の定、京都のお寺でも展覧があったとか。
ともかく寒い日で、奈良さんの部屋から眺めた窓が一瞬絵画のように
白い物がふわふわしてきました。
原美術館での雪景色に上気しました。



8日 国際フォーラム アートフォーラム東京
かねてより、親しく作品を拝見している、荒木愛さんの作品が
展示されるとのご案内を頂き、
去年はいけなかったAFTに行ってきました。
日本のギャラリーが古美術からコンテンポラリーアートまで大集合する
3日限りのありえない大市場です。
日頃美術館ばかりでギャラリーにはなかなか足が向かないのですが、
ここに来れば元気なアート界を肌で感じることが出来ます。
古美術ファンとしては超有名店の看板だけでも憧れますが
こちらでは軒をぐっとさげてくれるのでふらふら見る事が出来ます。
2年前の山下裕二先生監修の「シャッフル」の展示がやはり強く印象に残っています。
感じる目線がぶれないと時代を超えても何の問題が生じることなく
美しい空間を作り出せることに感銘しました。
今回のAFTはやはり工芸品に目が止まり、嗜好に傾くのは致し方がないこと実感でした。
ユマニテでの個展で知った廃材メタリック素材で動物たちを作る富田菜摘さんや
日本画家の荒木愛さんともお話しすることができ、嬉しく思いました。
荒木さんからは、すぐに個展があるとのDMを頂戴しました。
DM作品のバックのグレーのもやもや感がとてもいいので、
尋ねると和紙を工夫して重ねてみたとのこと、本作を見るのが楽しみになりました。
単なるかわいい絵ではない、岩絵の具から浮かび上がる色の世界、
その儚い線が何かを訴えてくるのです。
今回のAFT特別ブースは「日本が創った近代」というコーナー。
蒼々たる画家の登場にビックリしました。
中川一政、佐伯祐三、坂本繁二郎、藤田嗣治、安井曾太郎、須田国太郎、麻生三郎、
熊谷守一、松田正平、堂本印象、香月泰男などなど続々並んで壮観でした。
各画廊からの展示作品群でした。
また、書家井上有一さんの書の大胆な墨の迫力も印象的でした。
それにしても、むんむんする会場の熱気に倒れる前に退散することにしました。

これはザ・コレクション玉匳 (たまくしげ)に展示されていた
安藤郁子さんの作品。この土臭いところに目が止まりました。

これは巧術だったか、ちょっと記憶が不明ですが
自在のカマキリのような虫の様子に痺れました。



13日 サントリー美術館 伊万里展
サントリー美の展覧はその会場作りがいつも快適美的で心地よい時間を過ごすことが出来ます。
今回も見慣れた伊万里を輸入した異国ムードで展示し、
新たな景色として感じることが出来ました。
シンメトリーに展示することだけでも異国間が生まれるのでした。
伊万里の人形が面白く、相撲の取り組みなどもユニークで、
収集した海外の人達の得意げな嬉しげな顔が想像できそうでした。
既に終わってしまいましたが、展覧会の様子はこちら
汐留パナソニックミュージアム 南部鉄器展
早くから南部鉄器の展覧情報にワクワクしてましたが
ようやく行ってきました。
やはり、日本のものづくりスピリットには驚嘆します。
金工の凄さはこういった日々の用の美にも手を抜かないということでしょう。
火鉢に鎮座したきただろう、伝統的鉄瓶の意匠に脱帽しつつ、
その流がデザイン、という表現に変わっていった南部鉄器。
北欧的なすっきりとした線、はたまた軽やかな色に染められた鉄器。
住空間や、時代の変化があってもこうして鉄器は
日本に留まらず、むしろ世界から再発見されてきたことを
誇らしく思った展覧でした。
我が家にもひとつ、鉄瓶が欲しくなりました。
会場内では内田繁さんによる現代の茶室がしつらわれ、
遊び心もある楽しい空間演出となっていました。
以前、麻布のル・ペインギャラリーでアルミのようなシルバー金属板が
パンチされた壁をつかった斬新な茶室が現れたこと思い出しました。
竹橋の工芸館でもこんな企画があれば素敵です。
19日 湯島羽黒洞 佐々木誠展
2年前のAFTでのシャッフル展示場で仰天した木彫像を作成した
佐々木誠さんの個展が湯島の羽黒洞で開催されました。
シャッフル展示が終わってすぐに羽黒洞に駆け付けたのですが
それ以来、佐々木さんの木彫に魅せられています。
今回もまた素晴らしい作品と遭遇できました。
詳しくはブログ記事をご参照下さい。


21日 世田谷パブリックシアター 杉本文楽 曽根崎心中
22日 二日連続、杉本文楽
ようやく念願かなって杉本文楽、パリ公演凱旋バージョンを鑑賞することが出来ました。
それもなんと、二日連続でです。
ありえないご縁に感謝するばかりです。
その内容の濃厚なこと、一言では言い尽くせません。
現代アーティスト、杉本博司氏の手で古典文楽の解釈が見事に舞台上で
劇場で繰り広げられ、罠に入ってしまった観客の息の根を止めてしまったのでした。
というと大げさですが、ご本人は至ってラフな方で
あ、杉本さんだわ、と階段ですれ違いざまに声をおかけしたら、
どうも、って、笑みをくださいました。(ただのミーハーです!)
跳ねた後には出口に立っておられるので、
ありがとうございました、とお礼を述べてきました。(ミーハーです)
機会があれば、このこと、ちょっと記事にしようと思いますが
手強い話しなので、どうなることやらです。
うっかり踏み入れた落とし穴は誠に心地よく夢見心地で自ら落ちていった、
そんな至福の二日間でした。
そして、去年急逝してしまったのえるさんにやっと見てきたわよ、と天空に向かって
伝えたのでした。

26日 青山一丁目 ギャラリー くにまつ
荒木愛個展 [I SPY ]
このことはまた別記事にしましょう。
愛さん、と呼んでしまいますが、ご本人とお仲間、そしてその師匠である
日本画壇の大家先生と分不相応にご一緒する機会を得て、
以来、親しくさせて頂いてます。
なんで素人の私がご一緒できるのか、未だに謎ですが、
ご縁のきっかけとはそんなものかも知れません。
また、ご家族とも対面してしまったり。
そんなことで、今回の個展はとても楽しみにしていたのでした。
ギャラリーは青山一丁目の大通りの1本入ったところにあって、
おしゃれな街、青山の住宅街に溶け込んでいるお宅のようなところでした。
さて、どんな作品群だったでしょう。
改めて思い起こしてみます。

31日 日本橋高島屋 武井武雄展
北九州往復やら、その後伊豆高原の両親宅に行く予定のある中、
もう、今日しかないと思いきって出掛けてきました。
地下道のショーウィンドウには次回展の浅田真央さんのポスターやら
パネルが準備されていました。
以前、武井武雄の本をもっている人がいて、そのかわいらしさ、に魅せられました。
また、神保町の古書店で武井武雄さんの本を大切にしまう箱が
とびきり素晴らしいできだったことが印象に残っていました。
この人から生み出される児童書の夢見る心根の美しいことに
今一番見失われている、慈しむ、という心。
世の中のすべてに愛が溢れていることに気づかされる、あたたかさ。
ものつくりの心底楽しいこと。
品の良い始末という仕事とは丁寧で優しい眼差しがあるということ。
こんなステキな手作り本で物語を学ぶことが出来たなら、
どんなに幸せなことを発見できる軟らかな人になれたのではないかと
至らないことを思い知ります。
ユーモアと、慈愛と、ものつくりの楽しさがこもった愛情溢れる本たち。
豊かな心とはこういうことだと確信もする幸せな空間でした。
物販の危険度は最高でしたが、ポチ袋、ハンカチ程度に抑えることがやっとでした。
4月に入ったので、もう少し更新が進むよう、頑張ってみます。
東京国立博物館の栄西と建仁寺、
三井記念美術館での超絶技巧明治工芸の粋、
横浜美術館の版画展、
千葉市立美術館での芳中展、
などなど気になるところ続々です。
とりあえずではありますが、ざっと3月の記録とします。