*東京国立博物館
博物館に初もうで
毎年、年初の賑々しいトーハクに気合いを入れてもらいます。
東洋館も相変わらずの充実ぶり。
今年もよろしくお願い致します!
次回はお花見が始まっていそうです。
ブログ記事はこちら

*サントリー美術館
水 ー 神秘のかたち
サントリー美の「水」にまつわる企画の確かさに引き込まれた展覧会でした。
漠然と水に関係する龍、蛇、十一面観音、弁財天などが近い存在だと思ってはいましたが、
なるほど「水」がもたらす悩ましい自然界の畏怖があればこそ
願いが生まれ、多様な造形が発生したことが展示品によって
知らされたのでした。
それにしても宇賀神の姿のシュールなこと。
「日月山水図屏風」との再会も嬉しく、白洲正子によって教わった
ミステリアスな美しさに飽きもせず眺めることができたのでした。
出品された作品が至るところから集められたということも
企画の確かさを感じることができました。
次回は明治の超絶技巧陶芸家、宮川香山登場です。

*三井記念美術館
三井家伝世の至宝
その名の通り、三井家が所蔵しているお宝の名品がごろごろと
チョイスされ眼福極まりました。
茶道具の垂涎、国宝重文が居並びました。
なかでも本阿弥光悦の黒楽茶碗、銘時雨、銘雨雲が並ぶことは滅多にないことでした。
三井家の至宝、年末年始にお出ましの応挙の「雪松図屏風」も
そのコレクションのレベルの高さを威風堂々と知らせていました。
能面、刀の素晴らしいものも出品され、家宝をこれでもかと
拝見できたのでした。
「三井家のおひなさま」は恒例となりました。
こちらに来れば、毎年豪華絢爛で雅なひな壇を鑑賞できるので、
おひな様を持つ必要がないのかもしれません。
*松屋銀座
日本のおしゃれ展
追悼 池田重子コレクション
池田、といえば、目黒の庭園美術館近くに長らく古布のお店があり、
庭園美の帰りに立ち寄ることが楽しみなときがありました。
そこで買い求めた銀細工の根付けを今でも大事にしています。
その池田の店主、池田重子さんのコレクション展でしたが、
昨年、89才でお亡くなりになったそうです。
この展覧を楽しみにしていらしたとのこと。
集められた着物の素晴らしさはもちろんのこと、驚いたのは
根付け、かんざし、帯留めなど、金工細工物の完成度の高さでした。
これを今生かすとしたら、携帯ストラップ、しか思いつかないのは
残念すぎます。もっと、身につけるもので何かいいものはないかと
思案にくれます。
洋服にはなかなか出番がないものたちなのだとしたら、
着物きるしかないのかなぁと麗しい色、配色、絵柄、組み合わせ、
等々をみてため息を漏らしてきたのでした。
*国立近代美術館
恩地孝四郎展
去年、東京ステーションギャラリーに於いて「月映」展が開催されました。
青春の輝きのなか、夭折した田中恭吉を囲んだ藤森静雄と恩地孝四郎。
儚い命を祈りを込めて綴った詩情溢れる世界観に心がひたひたと
静まっていったことが深く印象に残りました。
版画という手段で詩情を表す、新たな表現にチャレンジした恩地孝四郎の
大々的な個展が開催されると聞いて心待ちにしていました。
会場は「月映」時代から始まり、最晩年の遺作まで恩地孝四郎の人生とともに
作品を鑑賞する私小説のような展示となっていました。
「月映」の若い時代は彼にとっての煌めきの時代ではありながらも
芸術活動の中においては序章であったのだと驚かされました。
三人の中で一番長生きをした恩地孝四郎の知られざる人生と共に
時代の変化と共生し、戦後の混乱期に在日アメリカ人との交流があった影響もあって
その後の抽象制作に励むこととなり、
いよいよ充実した版画制作を続けていたことを知りました。
モノクロ写真の生々しい生命力や、抽象表現の晩年の版画などは
自由を楽しんで海外の抽象絵画のイメージも感じられるような
詩人が版画家になったようだとつくづく感じたのでした。
日本における版画、浮世絵から新しい潮流が芽生え、本の挿絵として
物語性のある表現となって、そこから恩地孝四郎の試みによって
もっと進んだ、前衛の版画を見ることができた貴重な展覧会でした。
所蔵先も和歌山県立美術館、千葉市美術館、他有数な版画コレクションの
美術館のなかにシカゴ、ホノルル、ボストンなどからも出品されたことも
恩地孝四郎が海外でも認知されていることにとても嬉しい思いをしました。
展覧は2月28日まで、後もう少しです。ぜひ滑り込み頂きたいと思います。
展覧サイトはこちら
*東京都美術館
ボッティチェリ展
30年近く前になるのですが、ツアー参加でしたが
フィレンツェ、ウフィッツィ美術館に行った時に
本当に美しい神々しさに感動したのがボッティチェリの「春」でした。
私の中では、レオナルド・ダ・ヴィンチも、ミケランジェロも有名すぎで頂上の画家という
意識がありますが、ボッティチェリの線の美しさ、目の表情のしっとりした
情感、それが日本画の二次元に近い親近感もあったのかもしれません。
品の良い落ち着いた静かな情感が見るものへ安堵の救いを与えてくれそうな、
そんな温かさがありました。
そこで、この展覧会には大変期待していたので、早速行ってきました。
これは本当に素晴らしい展覧会です。
見逃すことの大きさはウフィッツィ美術館に行ってもこれだけのものが
集中して見ることはできないのではないでしょうか。
2月25日までの展示、「若い男の肖像」
これはボッティチェリが妻帯しなかったことの証明なのかと思うほど、
美しい男性のしとやかな目線が印象に残りました。
ヤマザキマリさんの「偏愛ルネサンス美術論」のなかでも同じような
印象を持っていると言及されていました。
この本はとても親しみやすくルネサンス時代の画家たちを紹介してくれて
私にはとてもわかりやすい手引きとなりました。
ボッティチェリの放つ、赤の深遠なこと、
慈愛の深さに陶酔感を得ることができました。
4月3日までの展覧会です。ぜひぜひお出かけ下さい。
今年は西洋画展覧会が大変なラインナップです。
日本美術応援団の下僕である私でもそわそわしています。
展覧のサイトはこちら
*ギャルリー東京ユマニテ 流 麻二菓『角ぐむ』
ユマニテでの鑑賞はちょっとした息抜き、みたいなカジュアルな気分で
拝見できる気軽さが楽しみですが、
大変実力のある重みのある芸術家と遭遇できます。
それはギャラリーとしてのキャリアが安定した
レベルを保障してくれるのだと思います。
流さんの展覧の様子はブログにしましたので、
ご覧頂ければ幸いです。
こちら
駆け足で1月を振り返りました。
2月はどれくらい鑑賞に通えるか、寸暇をぬって駆け込んでいこうと思います。