
この秋、ここの三井記念美術館、五島美術館、根津美術館 で
三館合同キャンペーン 茶陶三昧 三館めぐり
が開催中です。
三館の展覧会半券を集めると次回展覧会入館券が一枚進呈されます。
三井記念美術館は先に今日、24日で終了となりました。
茶陶ファンにはワクワクの垂涎展覧会です。
ぜひにも!といち早く三館巡ってきました。
最初に訪問したのが
三井記念美術館。「卯花墻」
驚くべき事に、展示された陶器は一部を除き、
オール桃山時代です。
信長や、利休が生きていたあの桃山時代のもの、勢揃いというだけで
ぶるっとします。奇跡だと感じます。
2013年の現代で、茶道を憧れるだけで遠くに思うような現代で、
茶会記にしたためられてきた伝来の茶器が
ずらり現れたのです。
今回のチラシがとても美しい開きになっていました。
国宝、志野茶碗 銘、卯花墻 は単独の展示室2で堂々と鎮座していました。
ケースの所為でしょうか、重厚な存在感ばかりではなく、
温かな白い肌に口縁を赤く染めて姫様を思います。
そのきっと姉妹関係の
志野橋の絵茶碗 銘 橋姫 が等東京国立博物館から駆け付けてきていました。
また、
如庵 の小さなお茶室ケースには
志野 垣根唐草文茶碗 銘 野辺の垣 が展示されていました。
この野辺の垣はとても素朴で柔らかくて、愛玩したくなる姿でした。
展示室1から展示室4に至るまで、
志野、鼠志野のおおらかな姿の茶碗、香合、水指、がすらり集合されて
圧巻でした。
今まで志野の温かさが人肌に近くてなまなましくて
すっくり馴染まなかったのですが、
井戸茶碗やら高麗の佗茶の渋さに慣れた頃、
このうすピンク色はきっとほっと安堵し、茶人達の頬を緩くしたのではないかと
思うようになりました。
展示室5では細長い展示室に黄瀬戸が集められました。
黄色の肌に緑の釉薬がふわりとかけられてどことはなしに
可愛らしい雰囲気があって、気取らずに使える人なつこさがこぼれます。
展示室6には陶片のさまざま。
といっても、美濃の古窯から出てきたもので、こちらも桃山だそうです。
展示室7には織部の一族、集合、というような場で圧巻でした。
こんな前衛はないでしょうと、わくわくする意匠が並びます。
色使いも大胆、絵付けも常識破り、形は想像を絶する歌舞伎ぶり。
じつに楽しいです。
これらの陶器、茶人達に愛されてきた茶器が
なんと桃山時代のわずか20〜30年の間に生まれたものだというのです。
この茶陶器のすごさに
陶芸家達はこぞって挑戦し、憧れ続けています。
その魅力はこの本物の実物を見て、茶会に登場した時の
客人たちの驚愕と憧れと愛情を想像してもなかなか実感として
わかり得るものではありませんが、
ともかく、無二な存在にひたすら変わらぬ思いを捧げることになるのでした。
茶会の一連の場に、どのようなお客人達の間で、
それらの器が適材適所に選ばれ、使われ、一期一会の場を盛り上げていったのか、
それを夢想するだけでも楽しい、名器との遭遇でした。
次回は「楽茶碗と新春の「雪松図」」展が予定されています。
茶陶器を一覧する好機となりそうです。
五島美術館では光悦、根津美術館では井戸茶碗。
茶陶器好きにはたまらない強化月間となります。
講演会なども力を入れているようなので、
併せて楽しんだ方もいらっしゃることでしょう。
ますます人気の展覧会となるようです。
三井の展覧の詳細はこちら
せめて、お抹茶と和菓子で気分を楽しみたいと思います。