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八月のアート鑑賞 2013 

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 今夏の八月は受験生がいるとはいえ、
 割合と彼方此方に出掛けられて楽しかった日々でした。
 しかし、酷暑厳しい日々でした。
 
 *福田美蘭展 東京都美術館
  ブログ記事に詳細を上げましたが、
  本当に楽しめたし、その視点のユニークさと画力に驚くばかりでした。
  今夏一番のお気に入り展覧会です。

 *ルーブル美術館展 東京都美術館
  福田美蘭展をカップリングした影響を受けて
  見事に流し観、地中海博物館を通り抜けたようなそんな具合でした。
  それでも銀の器がいぶし銀で素敵だったこと、
  スプーンに女性の体が捧げられるように彫刻してあったこと、
  それらは眼に残りました。

 *鳳が翔く 榮久庵憲司とGKの世界 世田谷美術館
  ブログに記事アップしました。  
  我が家のお醤油差しはGKのものでしたというよりも
  既に日常のデザインとなってまったく溶け込んでしまっているのです。
  用の美、それは今も尚ありとあらゆるところで工夫され続けています。

 *柚木沙弥朗 いのちの旗じるし 世田谷美術館
  民芸の染織家、芹沢銈介を師に持つ柚木さんの作品には
  伸びやかな自然へのいのちへの温かさが溢れていました。
  かわいい単純な色遣いは子ども達にもきっと大人気でしょう。
  子どもの頃、指人形つくった気がします。
  今の子たちは知らない世界かしら、と残念でもあったり。

 *清方が過ごした明治の風情 鎌倉鏑木清方記念美術館
  鎌倉を旧友たちとふらふら歩いた道のりに
  静閑な日本家屋の美術館がオアシスとなりました。
  明治、大正、昭和の日本が日本らしかったその日常を思い出す
  懐かしい場所となりました。
  私の育った時代の家の庭、景色を回顧することも出来ます。
  女性たちはみんなしとやかで美しかったのですね。

 *生誕100年 松田正平展 神奈川県立近代美術館
  こちらもブログにアップしましたが、
  西洋画を学んだ後にあんな素朴な単純な絵に向かったことが
  松田正平なんだな、と思いました。
  熊谷守一をふと思い出したことや、
  あの美術館の建築とも融合して良かったこと、
  蓮池を走る風も心地良かったのでした。

 *野中ユリ 美しい本とともに 神奈川県立近代美術館別館
  鎌倉行きを友人に強くおねだりしたのは、野中ユリ展があるということでした。
  良く歩き回りましたが、
  あの空間を体感できたこと、本当に良かったです。
  カンパネルラも喜んでいることでしょう。
  星々と鉱石と夢が織り成すキラキラワールド。
  物語は美しくも儚い妄想の標本箱。

 *速水御舟ー日本美術院の精鋭たち 山種美術館
  なにしろ底抜けに暑い日でしたが、
  山種館長の和装に気合いを頂きましたし、
  御舟のお孫さんたちが訪日されていたこともあって、
  熱気溢れる講演会を拝聴することが出来ました。
  本展についてはまだ記事にしていませんけれど、
  もう少し涼しくなってから、御舟のお菓子と共に
  もう一度、ぜひ再訪したいと思っています。

 *おもちゃ美術館
  従妹親子に誘われて、四谷三丁目にある、廃校舎をリノベーションした
  子ども達にとっての楽しい楽しい遊び場。
  大人も親になった事を忘れて一緒に遊べます。
  丁度日本国内の土地土地に残る人形展が開催中でした。
  0歳児の赤ちゃんから小学生まで安心して遊べます。
  おもちゃ、子どもだけのものじゃないと
  よく考えられた安心安全やさしい木のおもちゃに感動しました。





 *文字の力・書のチカラ 出光美術館
  余りの暑さと、喉風邪が長引いていてうっかり見逃すところでしたが、
  会期末ギリギリに駆け込んできました。
  見逃していたら後悔するところでした。
  東博の和様の書、それに関連して日本の書、というジャンルの
  不明なところはさておき、
  ビジュアルとして単純に美麗なものでした。
  宗達・光悦の書だけではなく、乾山の陶器、
  屏風絵も展示されていて、なさがら「書の琳派」を見るようでした。
  前回の書の展覧図録が値下げされ、今回の図録も丁寧な作りだったので
  頑張って二冊ぶら下げて帰りました。
 
 *浮世絵展 三菱美術館
  この浮世絵展の展示空間は実に三菱美術館にぴったりで、
  西欧の浮世絵コレクターはきっとこんな風に
  リビングにロートレックと一緒に飾って楽しんでいたのではないかと
  嬉しくなりました。
  中でも、肉筆軸装の独立したショーケースが立ち並んだ展示室が
  とても素晴らしかったのでした。
  いつも会場の真ん中でどこにいるのか不安になってしまうのですが、
  今回で少し慣れてきた気がしました。
  次回はまだ行ったことがない美術館カフェにも寄ってみようと思います。

  
  

 *アンドレ・グルスキー展 国立新美術館
  一言でこのスケールにやられた、という印象です。
  この展示企画にもグルスキー氏自ら指示があったそうで、
  破格な写真という世界を実は一番楽しんでいるのは
  ご本人で、鑑賞者は彼の企画に振り回されつつも
  ぐるぐるにされてまた違った意味で遊ばれていることに喜びを感じてしまいます。
  どうしたらあんな画面が出来るのだろう?という
  引っかかりが彼を知るための扉となるのでしょう。
  会場を出たら自分の目がグルスキー視点になってしまって、
  カメラワークを楽しんでしまうこと、間違いありません。
  もうちょっと、グルスキーのこと知りたくなりました。




 *アメリカン・ポップ・アート展 国立新美術館
  眼がグルスキー化してまもなく、アメリカン・ポップ・アート展になだれこみました。
  その余韻が案外面白く鑑賞できました。
  思いの外、コレクション数があって、
  コレクターの底力に降参してしまうのですが、
  なんてたって、ウォーホルの個展が特別コーナーにあるくらいの
  スケールの大きさに仰天してしまいました。
  ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、
  ジム・ダイン、オルデンバーグ、ウォーホル、リキテンシュタイン、
  等々、アメリカンポップの巨匠たちがパワーズ夫妻による至極のコレクションとうのも、
  凄いご夫婦が世の中にはいらっしゃるものです。
  見応えたっぷりなので、10月21日会期末までにもう一度楽しみたいと思います。

 *文晁展 サントリー美術館
  後期の文晁展に行ってきました。
  前期作品と随分展示替えがあったので、再訪してよかったと思いました。
  文晁の仕事の的確さと何でも描けることが彼の芸の色をなくしたとするならば
  それが彼の特徴ともいえるのではないでしょうか。
  そうして彼を取り巻く松平定信公と文人たちとの交流、
  後継絵師たちも慕って、渡辺崋山もその一派に顔を連ねているあたり、
  人望の大きさを感じます。
  西洋画への挑戦も既に始まっていて、
  日本画とか、西洋画とかの境界線も曖昧で
  破綻なくスケッチしている画帳などはとても自由な筆が走っていました。
  とても愉快に楽しく仕事をしていたんだろうな、
  と家族や、抱一、周りの人々の親しい交流に人徳を観て温かな気持ちになりました。

 *福井利佐 LIFE-SIZED ポーラミュージアムアネックス
  切り絵の作家さん、福井利佐さん作品を
  ミッドタウンのとらや店で拝見していました。
  2011年3月から6月の企画展でした。
  そのパンフレットを大事に持っていました。
  その作家さんの個展があるとTwitterで知りました。
  そうして、ようやく出掛けていったのでした。
  その日は草月の稽古日で帝国ホテルでの草月の花を見た後、
  先生もお引き連れしてポーラアネックスギャラリーに行ってきました。
  大きな面相が切り刻まれた圧倒的な曲線表現が
  表面は白一色、もう片面はカラーで向きを変えると
  がらり、色の世界が広がる仕組みでした。
  パネルに貼られた様々な人の顔は表情筋の後をスローモーションで
  なぞった足跡のように、ぐるぐるしますが、
  その巧みなことといったら執念も感じられます。
  9月8日までの会期です。今後のご活躍をますます期待したい方です!
  今回の会場入り口のポスター


  2011年の宝生能楽堂でのパンフレット


  2011年ミッドタウンとらやのパンフレット


 今年の夏はことのほか厳しい酷暑で体調を崩す方も見受けられ、
 太陽光線の垂れ流しをなんとか一日も早くエネルギーに変換して欲しいと懇願します。
 ゲリラ豪雨に振り回され、花火大会も散々だったりしました。
 去年よりも今年、亜熱帯に近づいている気がします。
 日本が自然への畏怖と、もののあはれを大切にし、消えゆくものへの思いを
 大切にする民族であり続けられるようにと願います。

 そして、日曜日から、9月突入です。
 気分を変えて、芸術の秋をしっかり楽しもうと思います。
 

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