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エミール・クラウスとベルギーの印象派 ・東京ステーションギャラリー

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 東京駅のステーションホテルなどリニューアルされたときに
 ステーションギャラリーもオープンして
 色々な展覧会が開かれてきましたが、
 まだ行ったことがない状態に早いところいきたいもんだと
 思ってましたが、ようやく念願叶って
 雨ザーザーの日に行ってきました。
 エキなか美術館で傘いらず、雨の日など悪天候の日に
 ホッとさせてくれる空間となること請け合いです。
 勿論、アクセス抜群、
 ここは東京駅界隈のオアシスエリアとなることでしょう。

 そこで、初訪問の展覧会はベルギーの印象派。
 そもそもベルギーに印象派がいたことも驚きです。
 また、エミール・クラウスって、どんな画家かまったく知らず、
 ただ広告の絵にどこかひかれる気配がありました。
 クラウスの絵には不思議な静かな波状の光と共に
 人びとの生活からこぼれる温かさが胸の内に
 迫ってくるのでした。
 いわゆる印象派というイメージの光とはまた違った、
 農耕の草むらの匂い、川面を抜ける風のそよぎ、
 日常の営みから聞こえる人びとの声、
 動物たちの体温、
 生きている命の輝きが自然界を通して輝いて見えるのです。

 ちょっとアンドリュー・ワイエスのタッチも思い出します。
 
 <ギャラリーのサイトから>
 ベルギー印象派の画家、エミール・クラウスについての日本初の展覧会を開催します。
 1849年に生まれたエミール・クラウスは、フランス印象派などから影響を受け、
 独自のルミニスム(光輝主義)といわれるスタイルで、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍しました。
 太田喜二郎、児島虎次郎という2人の日本人画家がクラウスに教えを受けたことでも知られています。

 ベルギー近代美術史の展開を考えるうえで、また印象主義の国際的な伝播という観点から見たときに、
 そして日本への影響という意味でも、非常に重要な画家であるにもかかわらず、
 これまで日本ではクラウスをテーマにした展覧会は開かれてきませんでした。

 本展は、フランス、ベルギー、日本の印象派の作品とともにクラウスの代表作、
 あわせて計65点を展示し、国際的な印象主義の展開の中にこの画家を位置づけ、
 陽光あふれる田園の情景や、自然の中で暮らす人々の姿をいきいきと描き出したクラウスの魅力に迫ります。

 ・・・・・

 以上のような案内からもわかるように、
 日本画家たちがベルギーに訪ねてクラウスに学んでいたことも驚きでした。
 会場にはベルギー印象派に影響を与えた
 元祖フランスの印象派代表作家の作品が並びます。
 ベルギーの画家たちとは初見ですが、
 ピサロ、モネ、シニャック、等が同時代作家として紹介されています。
 日本からは直接指導してもらった、
 児島虎次郎、大田喜二郎が日本の画題で挑戦しています。

 それにしても、クラウス、
 太陽光に向かって、逆光にカンバスを置いて
 「光」の探究を続けてきます。
 日本語では「光輝主義」と訳されてきたとか。
 第一次世界大戦のあの時代に彼独自の光を描こうとした
 信念さえも見えてきたのです。

 画面を見ていると
 光の放射状が緻密に描かれ、その筆跡が光の分子に見えてきます。
 甘美な豊かさとは離れた、
 クラウスは一過性の流行を表面的になぞることはなかったそうで、
 その強い意志も太陽に向かって座り続けたエネルギーを
 とても静かに、ゆっくりと、愛情深く、
 自然界と人間の営みを包み込んだ神々しささえも感じます。

 初めてのエミール・クラウス。
 図録をもう少し読んでどんな人だったのか、
 知りたくなりました。
 黒田清輝も関わったようです。
 今後、クラウスの画業にもっと光が当たることを願ってやみません。

 国内でも所蔵しているところは
 姫路市立美術館、大原美術館が代表しているようです。
 
 作品にはどの作品にも光を浴びた温かさが満ち満ちています。
 「タチアオイ」
 「月昇る」
 「日の当たった木」
 「野の少女たち」
 他にも紫陽花や、雲ノ間からみえる太陽光などをみれば
 きっと柔らかな空気に包まれることと思います。
 7月15日までの会期にぜひお出かけしてみて下さい。









 東京ステーションギャラリーのサイトはこちら。

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