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桂ゆき、フランシス・アリス、MOTコレクション・東京都現代美術館

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 梅雨入りしたのか、空梅雨なのか、
 やはり、梅雨だったのかな、という乱調な6月ですが
 忘れないうちに、鑑賞メモしておこうと思います。

 *東京都現代美術館 桂ゆき展

 現美をたまにチェックするとどっきりすること多くて今回も
 とても盛り沢山に楽しみ盛り上がりました。
 MOTコレがまた充実なんです。古い世界からのつながりも見えて
 私の古くなりつつある(なっている)脳みその近代化もできそうな気がします。
 桂ゆきという女流作家がとても真摯に絵画に向かっていたこと、
 人間性のあたたかさと、日本人の物語を大切にしたこと、
 シュールの時代のなかで独特の表層感をもってたということ、
 チャーミングな感覚が散らばってユニークなんだけれど、厳しい目もあり、
 かわいらしさもあって、温かなのびのび感を浴びるようでした。
 赤色の襦袢布オブジェには草間弥生さんも滲んでたり。
 桂ゆきは岡田三郎助に師事したと解説があったように思いますし、
 戦前より瀧口修造や藤田嗣治等から注目されてきたとの説明にも驚きました。
 コラージュのような表層の重なりは絵画になっても、
 オブジェになってもその形質が特徴なのだとと思いました。
 コルクの作品はとてもユニークな表面となっていました。
 こんな女性作家がいたこと、誇らしく思ったのでした。
 展覧は9日に終了してます。

 サイトはこちら

 *東京都現代美術館 フランシス・アリス展

 初めての作家、作品でしたが、なんとも理不尽なスパイラルで無常観が
 ひしひし伝わります。何をしてるんだか、という切なさもありつつ
 そうはいっても同じ事が始まり終わり、何も変わってはいかないんだという
 諦めもありつつ、でも罠にはまったように繰り返していく映像。
 ちょっと時間に対する耐性が問われるけれど、
 慣れてしまえば思わぬ落とし穴に嵌まっていくようです。
 2期の展覧は6月29日から9月8日までの会期なので、
 夏休み、ちょっと面白いショート映画を観る気分で行くのも面白いと思います。

 サイトをぜひご覧ください。こちら

 *東京都現代美術館 MOTコレクション 私たちの90年 1923−2013
           残像からー afterimages of tomorrow

 MOTコレクションはかなり充実で毎回楽しみです。
 コンパクトな冊子も読み応えあります。
 会場に入るといきなり手塚愛子さんの大作「層の機」
 唯々大きいだけで圧倒されるのですが、その作品の重厚な重層ぶりにも圧倒されます。
 大きな絨毯が出来る途上なのか、解体途中なのか、、、、、
 パンフレットの解説によれば、制作途上を見せる、という試みだそうです。
 古代からの歴史の表現な重ねられ人間の営みの歴史を伝えているようです。

 第1部 私たちの90年 1923ー2013
  ここで河野道勢の小作品、キリスト教の色が強いものが並びます。
  彼はハリストス正教会の熱心な信者だったそうです。
  大きな三部作の壁面作品がドンと現れ、作家の名前「杉全直」に
  おっとなったのは芸大所蔵の彼の作品「たかげた」がとても好きなので
  覚えていたのでした。こういう出会いはとても嬉しいものです。
  展示作は「涸れた泉」
  戦争、震災体験の重たい空気を生きていかなければならなかった
  途方もない体験を叫んできたのです。
  鶴岡政男の「重い手」の赤の重たいこと。
  藤牧義夫の巻物は隅田川を見つめた絵巻はスクリーンに全体像を映していました。
  中村宏の「砂川五番」「革命首都」
  タイガー立石、篠原有司男、同時代作家としてリキテンシスタイン、
  トム・ウェッセルマンも展示され、勢いあるアメリカを意識します。
  そして、
  目玉だったのが
  大岩オスカール幸男
  「戦争と平和」という大作の二枚組と
  会田誠の「たまゆら」「美しい旗」とのコラボレーションでした。
  体験者ではない若い人のイメージとしての戦争画ということになりましょうが、
  ノスタルジックな切なさの中にもその焦土残像を背負って
  現代人ははかなくも致し方無くも生きていることを
  感じさせられるのでした。

 第2部 残像からーafterimages of tomorrow
 会場の2階に上がって第2部を見ます。
 突如、杉本博司御大の白黒写真が並びます。
 リチャード・セラの彫刻がまるで近未来な建築の一部にみえます。
 クールで怖いくらいのモノクロにただならない仕掛けがありそうで
 杉本氏のたくらみに喜んで振り回されるのです。
 鴫剛という作家の写真を描き写し、それを写真に撮り、それをまた描くいう連作。
 何かに取り憑かれた作家には気の遠くなる作業の結果
 リアリティというのは何か?と尋ねられます。
 そして、また中村宏が登場しますが、
 「事件」は絵画と鑑賞者の出会いの瞬間にも起こるーという思考の元、
 「絵図連鎖」シリーズが生まれます。
 映画の絵コンテのようなスケッチのような作品群。
 風間サチコ「魂!怒濤の閉塞艦」
 大海の嵐の中遭難しそうな大型船の荒れ狂う戦いの墨色一色の劇画的画面です。
 現代作家、後藤靖香さんを思い出したのでした。
 28才で早世した石井茂雄という作家の作品群を初めて知りました。
 他、森千裕、O junさん達の作品も。

 そんなことで、大変盛り上がった現代美術館でしたが、
 そうとう疲弊します。
 なので、お茶休憩をし、ショップをぷらぷらしながら
 帰宅するための英気を養って現美を後にしたのでした。
 夏は恒例の夏休み企画、手塚治虫と石ノ森章太郎熱く盛り上がるのでしょうね☆

 画像はその時に見つけたものです。














 *展示は6月9日で終了しています。

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